コラム『所長の眼鏡』
ドレミ・・・はなぜできた?2016.10.01
ドレミファソラシド♪♪… 見ただけで思わず口ずさんでしまいますが、まさか、これを口ずさめない人はいませんよね? それも、おそらく世界中で。 (音程は別にしてですが…笑)言わずと知れた音階ですが、なぜできたかご存知ですか? もともと歌というのは、口伝えに伝えていたのですが、 キリスト教の布教とともに、聖歌を正確に伝えるためにできたのです。 11世紀のグレゴリオ聖歌「聖ヨハネ賛歌」が最初で、イタリアの修道士で音楽教師だったグイード・ダレッツオが考案したとされています。 世界中で最も読まれた本は『聖書』ですし、キリスト教ってすごいですよね。
音階のない時代に歌を正確に伝えるために工夫をし、その結果楽譜が生まれるという進化は、言語と同じく、他の動物にない人間にだけ与えられたものです。 このように、物事を正確に伝えるというのは非常に重要なことですが、先日あるニュースを目にしました。 アメリカの調査によると、アメリカでは死因の第3位が医療ミスだそうです。 その年間の死亡者数は25万人にも上ります。 ところが、公式にはアメリカの死因は、 1位が心臓病で61万人、2位が癌で59万人、3位が呼吸器疾患で14万人となっているのです。 医療ミスが公式の統計に上がってこない理由は、統計の項目にそもそも「医療ミス」という項目がないからです。 笑えない話ですが、これが現実なのです。
例えば、平成21年から26年の間に、国内の倒産件数は約7万件です。主な倒産理由は以下の通りです。 1位が販売不振で5万1千件、2位が既往のしわ寄せで7千件、3位が連鎖倒産で4千件となっています。
圧倒的に多いのはやはり「販売不振」です。 必要な売上が上がらなかったことが主な要因で、資金ショートを回避できなかったケースです。 次に多いのが、「既往のしわ寄せ」です。 いわゆる「ゆでガエル」状態で、徐々に悪化している経営状態にもかかわらず、その現実を注視せずに具体的な対策を講じないまま、過去の資産を食い潰していくことです。 そして、「連鎖倒産」。 特定の得意先に売上の多くを依存している場合、その得意先が倒産することで自社も倒産してしまうケースです。
この他にも、「過小資本」「放漫経営」「設備投資過大」「信用性の低下」「売掛金回収難・債権回収を怠った」 「在庫状態の悪化」と続くのですが、倒産とはキャッシュが尽きるということです。 そして、大半は「売れないから」潰れる。 あっけないほどシンプルな理由です。 しかし、売上を伸ばすための情報、知識、ノウハウは山のようにあります。 それを学ぶ手段も機会もたくさんあります。 それなのに、なぜ多くの企業が販売不振から逃れられないのでしょうか?
ここにも、厳しい現実が潜んでいるのです。 アメリカの死亡原因に「医療ミス」が反映されないのと同様に、統計には現れない真の倒産理由です。 それは、「社長の勉強不足」です。 情報も方法も提供されているのに、それらを用いて状況を改善しないとすれば、もはやそれ以外の倒産理由はありません。 アメリカの死因について調査した研究者は、「医療ミスのデータが共有されれば、原因を改善できる」と言っています。 ビジネスにおいても、有益なノウハウや知識が共有されれば、倒産を防ぐことができます。 それどころか、ピンチが一転して、大きな飛躍のチャンスになるかもしれません。