HOME >> 所長の眼鏡>>刺しても痛くない注射針

刺しても痛くない注射針

所長の眼鏡

2008年08月1日

EXP=1363605844

いまだ下町の風情が残る、東京墨田区の一角にある社員数わずか6名の町工場。
ここに、時の総理大臣や経団連会長までもが、わざわざ時間を割いて会いに来る人がいます。「世界一の職人」として知られる岡野工業の岡野雅行氏である。

携帯電話の小型化に貢献したリチウムイオン電池ケースなど、彼のこれまでの功績は計り知れないものがありますが、中でも有名なのが、「刺しても痛くない注射針」の開発です。
2000年のある日、医療メーカーが「刺しても痛くない注射針」の図面を持ってこられた。その時は忙しくて一度は断ったそうで、「糖尿病で苦しんでいる人たちに、なんとか注射の苦痛を和らげたいと設計したけど、どの会社に頼んでもできないと断られてしまいました」と、日本全国で100社近くから探したが駄目で岡野氏のもとを再度尋ねてこられたそうです。正直言って、一瞬「これはできるわけがない」と思ったが、でも次に、これまで不可能を可能にしてきた経験からすれば、「今回も実現は可能だ」と感じたそうです。

具体的に求められたのは、先にいくほど細くなっていく形で、先端の直径がわずか0.2㎜、針穴の直径は0.08㎜いう注射針で、世界一細いインシュリン用の針だった。それまでのインシュリン用の注射針は根元から先端まですべて0.25㎜。全部が0.2㎜ならそれほど難しくないが、それでは注射液をうまく押し出せない。痛く感じないほど細くて、しかも注入しやすい注射針…その基本は一枚の板を丸めてしまえばいい!というひらめきだったそうです。

テレビには何度も取り上げられている岡野氏ですが、開発してきたインシュリン注射針が2005年7月にようやく量産できるようになり、某医療機器メーカーから発売されたころの放送で、今まで1万回以上インシュリン注射を打ってきたという幼くして糖尿病にかかってしまった小学生の子供さんに、「ぜんぜん痛くなかったんだ。 つくってくれた人、ありがとう」といわれたそうです。これまで生きてきて、何よりも感激した一瞬だったそうで、「今は毎日20万本作っているよ。これからもずっと、患者さんがいる限り続けていく。もうやめたなんていうわけにはいかないんだ」と仰っています。

そんな岡野氏曰く、「俺もこれまでやってきて、いろんなところがうまい話をもってきたりした。でも、たとえ自分の儲けが減ってしまったとしても、世話になった人たちへの義理を忘れることだけは絶対にしない。うちはね、人を大切にするから貴重な情報が一番に集まってくるんだ。経営も生き方もおんなじ。まずは、義理と人情を大切にすることだね。俺は看板なんて気にしない。その人が気に入れば頑張って仕事するけど、気に入らなければ、もう来ないでくれ、とはっきり断る。看板ではなく、仕事は人間性でするもんだよ。ところが、中には紹介してくれたBさんをすっ飛ばして、Cさんが直接仕事を持ってくることがある。Bさんを飛ばした分、安く上げようということだ。そういうときは、Bさんを通さないなら俺はやらないよ、とはっきりいう。

「そうやってみんなに信用をつくっていくものなんだ」と仰っています。
「俺は変わりもんだよ。世紀の変わりもん」と笑い飛ばす岡野氏が、人から不可能といわれながら、その闘志に火をつけ、実現してきた“ものづくり”の功績は計り知れません。


経営相談から税金対策まで、お気軽にご相談下さい

TEL:06-6791-0724
2017年8月
« 7月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
日野上総合事務所
について
TOPICS
出版物・パブリシティ
求人情報
個人情報の取扱について
リンク集
  • 所長の眼鏡
  • 事務所ブログ
  • 決算診断無料体験
  • 経済産業省認定 経営革新等支援機関

このマークの意味は?