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金融円滑化法(モラトリアム法)の終了を見据えて”今”何をすべきか!!

所長の眼鏡

2012年10月1日

沈没

今回は、平成21 年に当時の亀井金融担当大臣が発案し、厳しい金融状況にある中小・零細企業を支援する目的で策定された金融円滑化法が、来年の3 月をもって終了するのを見据えたお話をしたいと思います。

 

1. バブル崩壊後に本当にあった経営者の話

税理士になって14 年、こういう仕事をしていると、良くも悪くも凄い経営者にお会いしてきました。

銀行から強烈な貸し剥しを受け、資産はもう何も無い。

それでも執拗に返済を求める銀行との交渉に、社長と奥さんから「銀行についてきて欲しい」言われて同行したことがあります。

当時のことは今でも鮮明に覚えていますが、普段は温厚でほとんどモノを言わない社長が、

支店長に向かって「ここにガソリンぶちまけて、火つけたろか!」

と言ったのは衝撃的でした。

これは犯罪になるので問題ですが、その他にも聞いた話で、銀行に保険証券を持って行って、「腹を切って保険金で返済してやる!だから病院から麻酔を持ってこい!それくらいのことできるだろっ!痛い思いをして死ぬのは嫌だからな!あんた達の前で腹を切ってやる!」と言って一喝した社長もおられたそうです。

それ以降、少しずつキツイ取り立てがなくなって、毎月の返済についても話し合いができるようになったそうです。

社長曰く、「命までは取らないだろう」ということでした。

ただ、保険の解約を迫られることは普通にありますので注意してくださいね。

 

2. 金融円滑化法とは

中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)は、平成21 年に当時の亀井静香金融担当大臣が発案し、厳しい金融状況にある中小・零細企業を支援する目的で策定された法律です。

具体的には、金融機関に対して、中小企業への融資について返済猶予・金利減免、返済額の減額など、いわゆるリスケジュール(以下リスケ)に応じる「努力義務」と、その実績の開示・報告義務を課したものです。

元々は、平成23 年3 月末までの時限立法として施行されたのですが、景気が上向かず中小企業は相変わらず厳しい金融環境に置かれていることに配慮し、改正金融円滑化法が平成24 年3 月末までと制定され、さらに同法が1 年間に限り延長となったため、平成25 年3 月が最終期限になります。

この間、リスケの申込件数累計は、308 万7000 件(H24 年3 月末まで)。

このうち、全国659 金融機関は、9 割強の284 万9000 件で申込みに応諾したと実績が開示されています。

ただ、1 社が個別融資ごとにリスケを申請すれば、各金融機関がそれぞれカウントしたり、一度条件変更した融資を再度リスケする場合も改めてカウントされているため、金融庁では実際にリスケを申請した企業数は、全国の中小企業約420 万社のうち、30 万~40 万社程度と推計しています。

その結果、政策効果としては、『東京商工リサーチが発表した2012 年上半期(1~6 月)の企業倒産件数は、前年同期比3.2%減の6311 件だった。

上半期としては3 年連続の減少で、過去20 年間で最も少なかった』(日本経済新聞2012 年7 月10 日付)

この記事が示すように、政策効果が顕著に数字に表れているのは、この企業倒産件数です。

金融円滑化法を含め、国が中小企業の資金繰りを支援していることが大きな要因となっています。

特に、構造不況業種である建設業の倒産が減少しているようですが、果たしてこの円滑化法終了後はどうなっていくのでしょうか。

金融庁では、来年3 月末で期限が切れる同法適用企業のうち、5~6 万社の貸出債権が不良債権になりかねないとの見通しも示しているのです。

 

3. 円滑化法が終了するとどうなる?

金融庁は銀行に対して、同法の期限切れまでに企業の格付けを改めて行い、貸倒れを見越した引当金を積むよう指示しています。

既に、国も銀行も中小企業の倒産増加に備えて『企業の選別』に入っているのです。

では、平成25 年3 月で同法の期限が切れると、予想されるのは銀行による『強制処理』です。強制処理とは・・新規融資中断、リスケ中止、返済額増額、保証協会付き融資の代位弁済手続、プロパー融資はサービサー(債権回収専門会社)へ売却、担保不動産の競売実施、預金・売掛金への差押えなどで、つまり、中小企業は国や銀行の一定基準の下に選別され、その基準に満たないものは“潰される”可能性があるのです。

 

4. 今からどのような準備をしておくべきか

まず考えておかねばらならいのは、「新規取引先の審査」と「既存取引先の管理の見直し」です。つまり、与信管理の見直しです。

・新規取引先と付き合いを始めるに当たり、何を審査基準としていますか?⇒現状分析
・契約書は結んでいますか?⇒現状分析
・安全を見て初回の取引は条件を厳しくしたりしなくて大丈夫ですか?⇒方針の明確化
・紹介だからといって安易に取引を始めていませんか?⇒新規取引先の審査強化
・既存取引先の業況はご存知ですか?⇒既存取引先の再審査
・未入金先への対処はタイムリーにできていますか?⇒対応強化
・未入金から3ヵ月以上経過している未回収売掛金は放置されていませんか?⇒入金管理の徹底

その他、どの段階で仮差押えなどの強制回収に移行するか、倒産に備えた書類や保険の準備など、いずれにせよ、これから半年の間に世の中が大きく動く可能性があります。

ちなみに、倒産防止共済は新規加入者が3 万3000 件と15 年ぶりに利用者が急増しています。

国としても、2011 年10 月に制度を大幅に拡充し使いやすくしているのですが、各企業が円滑化法の終了を見据えて自衛手段として加入しているのでしょう。

もしかしたら何もなく平穏無事に行くのかもしれません。

しかし、国も銀行も備えている中で、資金力が弱い中小企業が何もしなくて大丈夫とは思えません。

この機会に、改めて与信管理体制を見直してみてはいかがでしょうか。

 

今の日本経済は「タイタニック号」に乗っているようなもので、「船の上で売上げが上がった、儲かったといくら喜んだところで、全体がいつかは沈んでしまう」という人もいます。

しかし、取引先や金融機関に足を引っ張られて溺れて死んでいくわけにはいきません。

何事もなく、ボートに乗って生き延びる行動を取らなければなりません。

何もなければそれに越したことはないのですが、起きてからでは遅いのです。

皆さんには、できる限りの自衛策をお取りいただきたいと思います。


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