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一括償却資産を除却した場合の取扱い2016.09.12

 今回は、一括償却資産を除却した場合の取り扱いについてお話したいと思います。
一括償却資産とは、税法上、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産について、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができる資産をいいます。詳細は過去のブログを参照してください。
過去ブログ:一括償却資産に活用して節税
例えば、前期において、パソコンを10台(1台当たり15万円)購入し、決算において一括償却資産としてその取得価額の合計額の3分の1を損金の額に算入しました。ところが、今期になって事業規模を縮小することとなったため、そのうちの3台を除却しました。この場合、当期の損金算入額は、除却したパソコンの取得価額のうち未だ損金の額に算入されていない金額30万円(15万円×3-15万円)と残り7台について一括償却資産として損金の額に算入できる限度額35万円(15万円×7台×1/3)の合計額65万円となるのでしょうか?
答えは、NOです。
一括償却資産の損金算入の規定では、一括償却資産の取得価額の合計額を供用事業年度以後の各事業年度の費用の額又は損失の額とする方法を選択したときに、一括償却資産の損金算入の規定に定める損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入することとなるのですから、会社がその方法を選択した以上、たとえその一括償却資産について滅失等が生じたときであっても、その損金算入限度額は一括償却資産の損金算入の規定する金額になります。 一括償却資産の損金算入の規定が設けられた趣旨は、取得価額が20万円未満の減価償却資産を会社が個別管理することによる事務負担に配慮したものであり、個々の資産の状況にかかわらず一括償却資産の損金算入の規定に従い計算される損金算入限度額の範囲内での損金算入を行うべきものであると考えられています。
したがって、一括償却資産の損金算入の規定の適用を選択した減価償却資産の一部につき除却した場合であっても、その償却限度額はパソコン10台(除却した3台を含みます。)に対応する金額50万円(15万円×10台×1/3)となりますから、除却したパソコン3台に係る除却損相当額30万円の全額を当期の損金の額に算入することは認められません
また、一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても同様に取り扱われますので、ご注意ください。
(法人税基本通達7-1-13)