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平成29年度税制改正大綱(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し)2016.12.26
今回は平成29年度税制改正大綱のうち、非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直しについて解説します。見直し項目は主に次の4つの内容となります。
(1)災害等の被災者等がこの制度の適用を受ける場合には、次の措置を講ずることとなりました。
①災害等の発生前に相続もしくは遺贈又は贈与により非上場株式等を取得し、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」)の認定を受けている、又はその認定を受けようとしている会社については、一定の要件のもと、その認定承継会社の雇用確保要件について免除等がされることとなりました。 またその会社が破産等した場合には経営承継期間内であっても猶予税額を免除されることとなりました。
②災害等の発生後に相続又は遺贈により非上場株式等を取得し、円滑化法の認定を受けようとしている会社は上記①の措置に加え、事前役員就任要件が緩和されました。
(2)納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数に100分の80を乗じて計算した数に一人に満たない端数があるときに現行では切り上げていましたが、改正後はこれを切り捨てることとなりました。 (但し、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数が一人の場合には、これを一人とします。)
(3)相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えることとなりました。
(4)非上場会社の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社について、現行ではその承継会社が中小企業者であること及びその会社の株式等が非上場株式等に該当することが要件でしたが、改正後はその要件が撤廃されることとなりました。
この改正は平成29年1月1日以後に係る相続税又は贈与税について適用することとなりますので、納税猶予をお考えの方は是非、当事務所までお問い合わせください。