事務所ブログ
国外に財産を保有されている方はご注意を!2013.07.31
平成24年度税制改正において、国外財産を有する方からその保有する国外財産について自主申告をする仕組みとして「国外財産調書制度」が創設されています。
平成25年12月31日における国外財産の保有状況を記載したものを平成26年3月17日(本来は3月15日ですが、平成26年においては3月15日が土曜日のため)までに税務署へ提出するというものです。具体的内容は下記の通りです。
◇提出が必要な方
・居住者(非永住者除く)
・その年の12月31日においてその価額の合計が5,000万円を超える国外財産を有する方
◇国外財産とは?
「国外にある財産をいう」こととされ、「国外にある」かどうかの判定は財産の種類ごとに行われます。
例えば以下のように、その財産の所在・受入した営業所又は事業所の所在などによることとされています。
財産種別 | 判定 |
不動産又は動産 | その所在 |
預金・貯金又は積金 | 受入をした営業所又は事業所の所在 |
社債・株式等の有価証券等が金融商品取引業者等に 開設された口座に係る振替口座に記載等がされているもの |
その口座が開設された金融商品取引業者等の所在 |
◇国外財産の価額とは?
国外財産の価額はその年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によるとされています。
ここでの時価とは...
その年の12月31日における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その科学は専門家による鑑定評価額、金融商品取引所等の公表する同日の最終価格(同日の最終価格がない場合には同日前の最終価格のうち同日に最も近い日の価額)などをいいます。
見積価額とは...
その年の12月31日における財産の現況に応じ、その財産の取得価額や売買実例価額などを基に合理的な方法により算定した価額のことをいいます。
この価額が外国通貨で表示される場合の邦貨換算は以下のようになります。
1. |
取引金融機関が公表するその年12月31日における最終の為替相場による。 ただし、その年12月31日に相場がない場合は同日前の相場のうち同日に最も近い日の相場とする。 |
2. |
1.の為替相場は邦貨換算を行う場合の外国為替の売買相場のうち、その外貨に係るいわゆる対顧客直物電信売買相場又はこれに準ずる相場をいう。 |
◇提出期限内に提出したら?
国外財産調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても、過少申告加算税等が5%減額されます。
◇では、期限内に提出できなかったら?記載すべきものが記載されてなかったら?
その国外財産に関して所得税の申告漏れ(死亡したものに係るものを除きます)が生じたときは、過少申告加算税が5%加重されます。
更に、「国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合又は国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。ただし、期限内に提出しなかった場合には情状により、その刑を免除することができることとされています。」(平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書に係る違反行為について適用)
国外財産を5,000万円以内に収めておけばこの提出義務の対象外となりますので、お心当たりの方はしっかり見直されてみてはいかがでしょうか?