事務所ブログ
海外出向から帰国した従業員の年末調整Q&A2013.11.28
企業の海外進出にともない、従業員の海外出向の機会は、大企業に限らず、中小企業でも増えています。
年の途中で海外出向から帰国した従業員の年末調整について、
基本的ポイントをQ&Aでご紹介します。
日本人社員Aさんは、平成25年中に海外出向(単身赴任)を終え、帰国しました。
帰国辞令交付日 9月1日
帰国日 10月10日
(帰国から出社日までの間は、関係先あいさつまわりなど)
出社日(着任日) 10月20日
当社給与 15日締めの25日払い
Q1 Aさんは、いつから日本の居住者ですか?
Q2 帰国した10月に支払われる給与の税金(源泉徴収)はどのようにしたらいいですか?
Q3 今年の年末調整の対象となる給与は、いつからの給与ですか?
Q4 配偶者控除と扶養控除は期間あん分するのですか?
Q5 出向中もかけ続けていた日本の厚生年金は、社会保険料控除できますか?
Q6 出向中も支払っていた生命保険料は、生命保険料控除できますか?
A1 帰国日の翌日の10月11日からです。
辞令日、出社日、着任日は関係ありません。
A2 Aさんから、10月25日(給料日)の前日までに、
「25年分 給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してもらいます。
働いた場所を問わず、25日に支給する給与全額に対して、源泉徴収してください。
A3 10月11日(居住者となった日)以後に会社から支払われた給与のみが対象です。
海外出向中に支払われた給与等は、日本では課税されません。
A4 控除額は、満額(配偶者控除であれば38万円)を控除することができます。
非居住者(出向中)の期間と居住者(帰国後)とであん分する必要はありません。
A5 社会保険料控除の対象とすることができるのは、
Aさんが帰国後(10月11日以後)に支払った金額だけです。
非居住者(出向中)の時に支払った掛け金は、たとえ25年度中のものでも、対象外です。
健康保険料についても同様です。
A6 非居住者(出向中)の期間中に支払った保険料は、生命保険料控除の対象にはなりません。
このように、通常のパターンとは異なることが多く、なにかと給与計算担当者を戸惑わせる場面が多々生じることがあります。
帰国から年末調整までの間には、さまざまな事項や疑問点があると思います。
ここでは紹介しませんでしたが、住宅取得等特別控除(住宅ローン控除)も、ケースバイケースで、控除できるケース、できないケースがあります。
留意点や疑問点、さらに詳しい内容については、当事務所まで、お気軽にお問合せください。
「関連記事」
年末調整において、昨年と比べて変わった点
配偶者名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除