個人住民税の調整控除について2015.05.19
先日5月17日には大阪都構想の住民投票が行われました。
私も大阪市民として投票に行きました。
投票率は66.8%と大阪市民の関心の高さがうかがえます。
結果、反対が過半数となり否決されましたが、地方行政について考える良い機会となりました。
さて個人事業主など確定申告をされた方は、個人住民税の普通徴収納付書が、法人には従業員の特別徴収納付書が届いている頃かと思います。
その納付書に添付されている課税明細書に「調整控除」という所得税には無い、住民税の独自の税額控除が記載されているのにお気づきでしょうか?
そこで今回は、この「調整控除」について説明します。
まずこの調整控除が創設された経緯ですが、平成19年から地方分権を進めるため、国税(所得税)が減税となり、地方税(住民税)が増税となりました。
これを税源移譲といいます。
この税源移譲によって、住民税の税率が増えた分は所得税の税率が減ったため、住民税+所得税の合計税率は税源移譲の前後で変わりません。
ところが、所得税に比べて住民税は配偶者控除や扶養控除など人的控除額が少ないため、同じ所得金額でも住民税の方が所得控除後の課税所得金額は大きくなります。
このため、所得税と住民税で税率を調整しても、なお人的控除額の差額分だけ住民税の税負担が大きくなってしまいます。
従って、この負担増を解消するために「調整控除」という措置が設けられました。
では次に調整控除の計算方法を見ていきましょう。
(1)住民税の課税所得金額が200万円以下の人
1.と2.のいずれか小さい額
1.人的控除額の差の合計×5%
2.住民税の課税所得金額×5%
(2)住民税の課税所得金額が200万円を超える人
{人的控除額の差の合計額-(住民税の課税所得金額-200万円)}×5%
また所得税と住民税の人的控除額の差は以下の表の通りです。
なお、この調整控除は事業所得や不動産所得など超過累進税率で課税されるものに適用され、不動産譲渡や株式譲渡などの比例税率で課税されるものには適用されませんのでご注意ください