事務所ブログ
分掌変更後の役員退職金を分割払いしたら・・・2015.08.06
今日は広島に原爆が投下された日です。今年で70年を迎えました。 8時15分に黙とうはされたでしょうか。 このような悲劇を二度とおこさないよう私達は平和を守っていかなければいけませんね(T_T)
さて今回は分掌変更後の役員退職金の分割払いについてです。 社長が会長へなど分掌変更があった場合、退職していなくてもそれまでの退職金を支給することができます。 ただし、この退職金が支給できるには要件がありますので、以前のブログ(役員退職金を支払い節税をしましょう)を参考にしてくださいね。 今回はその分掌変更後の退職金について、事業年度を超えて分割で支給した場合はどうなるのか・・・です。 この事例について納税者と税務署での判決が東京地裁にて平成27年3月3日にでました! 概要 創業者Aが社長から非常勤の取締役となり役員報酬も半分以下に変更した。 会社はAに対し、平成19年8月期に役員退職慰労金として2億円の支給をすることを株主総会で決定したが、資金繰りの状況により平成19年8月期に退職慰労金の一部7,500万円を支給し経費とし、その後平成20年8月期において残額の1億2,500万円を支給し経費とした。(株主総会において総額と資金繰りの都合上分割支給する旨、支給時期は定められていた。) その後の税務調査により平成20年8月期に支給した退職慰労金は退職給与に該当しないとして、税務署は平成20年8月期の法人税の更正処分等を行った。
今回の事例は分割支給した退職金をその支給した年度において経費とできるかどうかが争点でした。 そもそも法人税基本通達9-2-28では,役員に対する退職金の経費にできる時期について,原則として退職給与の額が具体的に確定した日の属する事業年度とするとしつつ,例外的に,支払った日の属する事業年度において損金算入した場合にはこれを認めるとしています。 一方で,分掌変更の場合の退職給与については,同通達9-2-32の注意書きで,原則として未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれないとしており,実際に支払ったものに限られる旨定めています。 したがって今回の2回目の分割分は退職給与に該当しないと判断されたわけですね。
しかし判決では納税者が勝利しました 🙂 役員退職給与という性格上、その法人の資金繰り等の理由による一時的な未払金等への計上までも排除することは適当ではないことから、「原則として」という文言が付されているものであるとして、分掌変更における退職金についても支払った年度において経費にできるとしています。 必ずしも、分掌変更に係る退職金が、実際に支払ったものに限定されるものとは国税庁も考えておらず、かえって資金繰り等の理由によっては、現実に支給していなくてもよい場合もあることは前提にされているものと考えられます。 (ただしこのような場合でも長期にわたる分割払いは適用されませんので気を付けましょう)
本件ではあくまでも当初から総額や支給時期が明確に株主総会等で決められていたからこそ認められています。 役員退職金の分割支給は慎重に行うことが大切ですし、なるべくしない方が賢明かもしれませんね 😐