事務所ブログ

横領があった場合の会計処理2015.08.27

 今日8月27日について検索すると、トップ項目に「男はつらいよ」の日とでてきます。第一作目が公開された日に由来するとのことです。不器用な男の生きざまが目に浮かびます(笑)
さて、今回は役員や従業員の横領があった場合の会計処理について述べたいと思います。 1、仕訳計上 横領があった場合、①その損失と、②横領した加害者(役員・従業員)に対する損害賠償請求権が発生していることになります。 また、その計上時期については経営者と加害者との間で損害賠償額が具体的に確定したときに、下記の損失と収入の仕訳を同時に計上することになります(最高裁昭和431017日判決)。 (例:自社の役員・従業員が売掛金を着服していた場合) 横領損失/売掛金 未収入金/損害賠償金収入
2、貸倒損失等  さらにその損害賠償金の回収が不能となった場合には、貸倒損失基準により、損失を計上することになります。 このため回収が可能(加害者に資力がある)であるにもかかわらず、損害賠償請求権を会社が放棄した場合には、役員の場合は役員賞与、従業員の場合には給料(既に解雇されている場合には寄附金)として処理することになります。当然、損金不算入規定や源泉徴収の適用がなされます。このため自己破産等がなされるまでは計上すべきではないかと思われます。 また、役員が実施していた場合には重加算税の対象となることも考えられます。   3、防止策 横領は加害者単独での偽造行為や取引先との共謀、管理者権限の悪用に対する監督不足等がその要因といえます。 不正防止の対策については①現金・預金の出し入れをする担当者と、会計処理の担当者は別々の者にする、②ダブルチェック体制の確立、③預金や売掛金・買掛金の最終残高は役員が直接確認をする等、常日頃から講じることが必要です。 上記のことは考えたくないことだと思います。しかし、事件となってしまうと信用問題にもなりかねず、取り返しもつきません。今一度、思いを巡らせてみてはいかかでしょうか?