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死亡した人に対する給与と退職金についての取扱い2016.09.06

 今回は死亡した人に対する給与と退職金における税務上の取扱いについて解説します。
まず死亡した人の給与についてはその支給期の到来時期により、次のように違いがあります。
(1)死亡時までに支給期が到来していた場合
例えば9月10日に支給期が到来しており、9月15日に死亡したケースでは、その給与について所得税が源泉徴収されます そして会社側では、死亡退職時にその死亡した人の年末調整を行います。 年末調整対象期間は1月から9月までの給与及び賞与です。
年末調整により還付となる場合、税務署に納付する納付書の記入については、通常の年末調整後の納付の時と同様に、還付金額を納付書の「年末調整による超過税額」に記載して納付額から控除します。
そして、遺族側では死亡後4ヶ月以内に行われる準確定申告において、給与所得の収入金額に9月分の給与を含めて申告をしなければなりません。
所得税は源泉徴収されませんしたがって、会社側では、「給与所得の源泉徴収票」を発行する際、その給与の額は「支払金額」に含めずに発行することとなります。
また遺族側においては、準確定申告でその給与は給与所得の収入金額となりませんが、相続税の申告において相続財産に含める必要があります
(3)死亡後3年経過後に確定したもの
死亡後3年経過後に支給が確定したものについては、その支給を受けた遺族の一時所得として所得税が課税されます。

次に退職金における取扱いですが、死亡後に支払う退職金は相続財産になりますので、給与と同様に源泉徴収は不要です。 そして会社は、相続税法の規定により「退職手当金等受給者別支払調書」を支払月の翌月15日までに所轄税務署に提出しなければなりません。 (死亡退職金が100万円以下の場合はこの支払調書の提出は省略できます。)
参考までに、死亡退職金の受取人が複数いる場合には、支給を受けた人ごとに「退職手当金等受給者別支払調書」を作成し、税務署へ提出する必要があります。
この様に給与や退職金はその支給期によって取扱いが異なるため注意しましょう。