事務所ブログ
4月以後に契約する新築タワーマンションの固定資産税が見直されています2017.05.15
12月19日付ブログ「平成29年度税制改正大綱」でも紹介しましが、今年4月1日以後に売買契約を締結する新築タワーマンション(注)の固定資産税が見直されました。建物の固定資産税や相続税の算定は「固定資産税評価額」が基礎となり、マンションでは、まず、1棟全体の固定資産税評価額と固定資産税額を算定し、専有床面積に応じて按分し、各戸の評価額・税額を算出します。
同じ床面積であれば、階数に関係なく、最上階でも1階でも同じ固定資産税評価額なので、原則、相続税評価額・固定資産税も同じです。

しかし、タワーマンションと呼ばれる超高層マンションは、高層階ほど眺望が良く、同じ床面積でも低層階に比べ分譲価格が高額なため、高層階の部屋を購入すれば、現金のまま相続するよりも相続税が抑えやすく、取引価格が高いわりに固定資産税も安く、富裕層の間で節税商品として人気です。 同時に、富裕層にしか使えない節税策として批判も高まっていました。

そこで、「タワマン節税」阻止策として、まず、タワーマンションの固定資産税の按分計算の方法が見直されたわけです。
新たな按分ルールでは、建物全体の税額は据え置き、1階上がるごとに税負担が0.26%上がるように按分します。 例えば、60階建マンションならば、中間にあたる30階では税負担は今までと同じで、それより低層階では減税に、高層階では増税されます。同じ床面積の部屋であれば、1階は30階より7.8%安くなり、60階は30階より7.8%高くなります。 1階と60階の負担差は、15.6%ですね。

今回は、あくまで固定資産税だけの見直しで、相続税評価額は対象外でしたが、将来的には、相続税評価ルールの見直し等さらに踏み込んだ節税封じ策も視野にあると思われます。 タワマン節税は、あと何年続くのでしょうか……
(注)マンションの高さが60m以上で、建築基準法の「超高層建築物」に該当する物件に限られます。目安は、おおむね、20階建以上とお考えください。