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インターネット販売と消費税の経過措置の留意点について2013.08.29

 

近年、インターネットによる取引が増加してきていますね。
先日国税庁から公表された「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に
関する経過措置の取扱いQ&A」にも、インターネット販売も通信販売に関する経過措置として含まれる
が明記されています。

○施行日(平成26年4月1日。以下同じ)をまたいだ取引と税率
  インターネットを通じた販売は、商品の購入手続(決済)と商品の引渡しにタイムラグがあるのが特徴な
 ので、施行日をまたいだ取引の場合、新旧いずれの税率を適用するかが問題となります。

  消費税の納税義務の発生時期は「課税資産の譲渡等を行った時」であり、課税資産が棚卸資産であ
 る場合には、譲渡等の日は「引渡しの日」とされています。

  ここでいう「引渡し日」とは、「出荷した日」「相手方において使用収益が出来ることとなった日」等とされ
 ています。

  インターネット販売においては、相手方の検収や使用収益等を確認するのは困難であることから、「出
 荷した日」を引渡し日としているケースも多いでしょう。

 この場合、商品の購入手続が消費税率の引上げ前、商品の出荷が引上げ後に行われたとすると、「課
 税資産の譲渡等の時期=出荷日」であることから、新税率が適用されることになります。

  もっとも、消費税率引上げ前に購入手続を済ませた消費者は、旧税率が適用されるとの認識を持って
 いる可能性があることから、消費者との認識トラブルが生じる可能性があります。

  インターネット事業者は、消費者との税率の認識トラブルを避けるため、サイトの一時閉鎖等の対応、
 及び平成26年3月31日の駆け込み需要の対応、も視野に入れておく必要がありそうです。

○インターネット販売の多くは経過措置の対象外?
  通信販売に係る経過措置は、通信販売の方法により商品を販売する事業者が、「指定日(平成25年
 10月1日。以下同じ。)前にその販売価格等の条件を提示」するか「提示する準備を完了」した場合にお
 いて、施行日前に申込みを受け、「提示した条件に従って」施行日以後に商品を販売する場合に適用
 されます。

  この点、インターネット販売では、営業戦略上、販売サイトの商品や価格が頻繁に改訂されるのが通
 常であり、指定日前に提示した「販売価格等の条件」が数ヶ月にも渡って維持されることは稀でしょう。

 そのため、インターネット販売の多くが経過措置の対象外になると想定されます。
 充分にお気を付けください!