事務所ブログ
社長の自宅を買い取ることによる節税2013.05.17
今回は会社で社長の自宅を買い取ることによる節税についてご説明します。
1、法人税の節税
まず建物の減価償却費及び不動産取得税、登記料、印紙等の全ての費用を損金経理することができます。
また、借入により取得した場合には、その支払利息も全て損金となります。
ただし、社宅として社長に賃貸すれば、社長は家賃を会社に支払わなくてはなりません(その家賃が一定の計算式で計算される「賃料相当額」を下回る場合は、その差額は役員報酬とされますので注意が必要です。)。
このように会社は社長から家賃を徴収し、収益計上しなくてはなりませんが、上述した「賃料相当額」は世間相場よりもずっと低く、通常は世間相場の半額以下、場合によっては1/5くらいになることもあります。
したがって、この収益として計上する家賃よりも、この社宅にかかわる減価償却費、借入金の支払利息等の費用のほうが大きくなることがほとんどなので、その分だけ節税できるということになります。
2、相続税対策(社長が会社株式を保有している場合)
社長の相続が発生すると、まず所有している会社株式を評価することから始まります。
ここで、その会社がたとえば小規模会社と判定された場合には純資産額方式によって株式を評価します。
詳しい説明は省きますが、この方法によれば社長個人の資産を会社株式として評価することにより、相続財産の含み益を大きく減らすことができます。
また会社の規模によっては、類似業種比準価額との併用方式によって評価することもできるので、さらに株式の評価を下げることで相続税額を下げることができます。
さらに相続財産の分割協議においても、株式の数で分割すればいいので、誰がどの財産を相続するのかといった「争族」となることも少なくなるのではないでしょうか。
3、事業承継対策(一定の中小企業のみ)
会社で社長の自宅を買い取ることにより事業承継においても有効となることがあります。
中小企業等の後継者が、相続等によりその会社の株式を被相続人から取得した場合、相続税が発生しますが、一定要件を満たせばその株式に係る相続税の80%が納税猶予される制度があります。
また、相続だけでなく贈与の場合も、一定要件を満たせばその株式に係る贈与税の80%が納税猶予されます。
(どちらも発行済議決権株式総数の3分の2までで、この中には後継者が既に保有していた議決権株式数が含まれます。)
つまり、一定の要件が必要となるものの、特に生前の事業承継においては贈与税を大きく猶予してもらえることになります。また相続時にこの制度を利用する場合においても、大きなメリットであることは間違いありません。
さらに、この制度は要件が緩和される予定となっています。
以上のように会社で社長の自宅を買い取ることのメリットを述べてきましたが、大切な財産です。まずはシュミレーションを入念に行うことをお勧めします。