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確定申告の計算上生じた損と益は通算できる場合があります2016.02.27
所得税の計算は不動産所得や事業所得など各種所得を合計し総所得金額を算出します。 そしてその各種所得の金額の計算上、生じた損失の金額のうち一定のものは他の各種所得の金額から控除することができます。これを損益通算といいます。
そこで今回はその損益通算について解説をします。
まず各種所得の金額の計算上損失が生じた場合に、損益通算の対象となる所得は次の所得です。 (1) 不動産所得 (2) 事業所得 (3) 山林所得 (4) 譲渡所得
利子所得及び退職所得は、所得金額の計算上損失が生じることはありません。 なぜなら利子には費用が発生せず、退職所得における退職所得控除額は収入金額を限度とするからです。
次に、損益通算の対象とならない各種所得は次の所得です。 (1)配当所得、給与所得、一時所得及び雑所得の金額の計算上生じた損失 (2)譲渡所得の計算のうち、生活に通常必要でない資産に係る所得の金額の計算上生じた損失
なお、生活に通常必要でない資産とは、次に掲げる資産です。
- 競走馬、その他射こう的行為の手段となる動産
- 主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産及び不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)
- 生活の用に供する動産で、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等
また不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、次に掲げるような損失の金額は、その損失が生じなかったものとみなされ、他の各種所得の金額から控除することはできません。
(1)別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付けに係るもの (2)土地を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額
そして、株式等、先物取引や一定の居住用財産以外の不動産の譲渡に係る所得の金額の計算上生じた損失も他の所得との損益通算はできません。 ただし上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額から控除することができます。
この様に損益通算はかなり複雑となっていますが、その適用は自分で計算して申告することが要件となります。 従って適用を失念していて過大に税金を納付してしまっていても、税金は自動的に還付はされませんので、詳しい話を聞かれたい方は是非、当事務所までお問い合わせください。