コラム『所長の眼鏡』
大将の戒め2006.04.01
いよいよ新年度のスタートです。
今年度は税制改正において、中小企業を悩ます大きな改正があります。
詳細は「クリエイティブ」に掲載しておりますが、当分その対策に追われそうです。さらに、5月1日には、いよいよ「新会社法」が施行され、日本経済に大きく影響を及ぼしそうです。
最低資本金規制が撤廃され、資本金1円でも株式会社を設立することが可能になります。起業を煽るセミナーやコンサルタントが人気を集め、起業本や雑誌などでも大きく取り上げられています。
起業をすることが悪いとは言いませんが、「起業は楽しいしオシャレで、今やファッション感覚」「カネもコネも無いのに成功した」などと起業を煽るのは、完全に病的です。
カネもコネもあるのになかなか成功しないというのが起業ではないでしょうか。
こういう時代になると、既存の企業に大きく影響を与えるのが人材の問題です。
バブル崩壊後、失業率が問題視されてきましたが、本当の問題は求人側と求職側のミスマッチです。求人する企業は、いい人材を求めていてもなかなか見つからない。就職活動する人は、自分にあった職業を探すがなかなか見つからない。これだけ失業率が高くても、就職活動をする人の権利の主張は年々増幅しています。いい人材の確保は、今後ますます厳しくなってくると思います。
ここで、私が税理士になってから肌身離さず持ち歩いているものを紹介します。
大将の戒め
大将というものは敬われているようで その実家来に絶えず落度を探られているものだ
恐れられているようで侮られ 親しまれているようで疎んじられ 好かれているようで憎まれているものだ
大将というものは絶えず勉強せねばならない 礼儀もわきまえなければならない
良い家来をもとうと思うならば 我が食を減らしても家来に饑じい思いをさせてはならぬ
自分一人では何事もできぬ これが三十二年間つくづく思い知らされた家康の経験である
家来というものは 縁でつないでならず 機嫌をとってならず 近づけてならず
怒らせてならず 油断させてならぬものだ
ではどうすれば良いのか それはナ、己に惚れさせることよ
元和二年六月
徳川家康