コラム『所長の眼鏡』
雪が溶けたら何になる?2014.03.01
ソチオリンピックが感動に包まれて閉幕しました。
競技そのものに手に汗握るシーンも多かったですが、それ以上に、選手が背負うストーリーや想いに共感してこみ上げるものがありました。
世界が注目する中で本番に挑む圧力や緊張感は計り知れないですが、現実を受け入れながら果敢に前を向く選手を見るだけで、熱くもさせてくれますし、温かい気持ちにもさせてくれました。
しかし、その五輪の熱気以上に、今年の冬は寒かったです。
日本中が大雪に見舞われ、大阪でも20年ぶりに雪が積もりましたが、20年前をほとんど覚えていませんので、生まれて初めての感覚でした。笑
ある小学校の先生が、子供たちに
「雪が溶けたら何になる?」と聞いたら、
子供たちは「水になる」と答えました。
正解です。
ところが、たった一人だけ「春になる」と答えた子がいたそうです。
100点ですよね。
ところが、先生はその子の答えにバツをつけたのです。
皆さんがもし先生だったらバツをつけますか?
雪が溶けたら水になるというのは何一つ間違っていません。
しかし、それは具体的な現象であって、自分の感情はありません。
逆に、雪が溶けたら春が来るということを感じるからこそ、まぎれもない自分が鮮やかに存在しています。
私たち日本人は、理論や知識だけで教育を受けてきたから、このような考え方が苦手なのです。
3M社のある社員が、書類に挟んでいたチラシがパタッと下に落ちた時、
「なんでこんなに簡単に落ちるのだろう?」とつぶやいたのです。
この自分の一言にひらめきを感じ、今ではどこの会社にもある「ポストイット」という付箋紙が生まれました。
また、エドウィン・ランド博士がポラロイドカメラを開発したのも、当時3歳の娘が写真を撮っていた時に、
「はやくその写真を見せて」とせがまれた一言にひらめきを感じたそうです。
このように、もし思い込みや決めつけがあったら、この発見はできなかったでしょう。
アイデアに気づくことができたのは、日常に転がるチャンスを「感じ取る」ことができたからです。
成功者たちは、この感じ取る力をビジネスチャンスに変えています。
しかし、先ほどの小学校の先生のように、現代人は感性よりも理性に重きを置いてしまっています。
もしかしたら、理性だけが人間に与えられた能力だという考えが、少し人間性までゆがめてしまっているのかもしれません。
人は1日に6万回の意思決定をしているそうです。
すべてのことを自分で選んで行動しています。
そして、その時の気分によって下した決断が、仕事の質、経営の質を変えてしまうのです。
すなわち、感情をコントロールできれば、人生や仕事の成果をコントロールできるということです。
このように、人間の行動というのは、論理的な行動は少なく、ほとんどが感性によって行動しています。
まさか理性でネクタイを選ぶ人はいないでしょう。
「趣味が悪いな・・・」という人もいますが、それもその人の感性ですし、趣味が悪いと感じる側もその人の感性なのです。
感性の力を鍛えておけば、周囲から大きな差をつけることができるでしょう。
だからこそ、「感性」を大切にしなければならないのです。
もうすぐ春がやってきますね。