コラム『所長の眼鏡』
相続の意味をご存知ですか?2015.06.01
5月3日、創業者である父輝夫が永眠致しました。生前皆様には何かとお世話になり、そのご厚誼に深く感謝申し上げますとともに、今後も父の生前同様変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。 さて、私はこれまでに数えきれないほどの相続の申告、相談、講演活動を行ってきましたが、初めて実際に相続を経験することになりました。 すでに膨大な数の名義変更に直面し、その手続きに忙殺されておりますが、父は生前、自分の財産をすべて私にオープンにし、時価評価をし、分割を決めて相続税まで把握していました。 当然計算は私がやらされます。 私がすべて把握していますので、その通り手続きすれば遺言書は必要ありません。これは父が税理士だったからできたという方もいますが、これは当然親としての最後の仕事だと思っていたのでしょう。 父の財産は父が分割を決めるのが当然です。 しかし、多くの場合、遺言どころか分割を決めずに亡くなるケースが多いのです。 ですから、後で相続問題が起こります。 いわゆる「争族」です。 実際に私の目の前で殴り合いの喧嘩までした人がいましたので、私は「暴争族」と呼んでいます。笑
皆さんも相続争いの噂を聞かれたことがあると思います。 しかし、本来相続争いなどは家の恥で、他人が知りえるはずもありません。 ではなぜ噂されるのでしょうか? …他人の不幸は面白いからです。 そこに自分の失敗談をより大きく話す相続人がいるからです。 そして、様々なメディアが面白おかしく取り上げ、一番問題なのは、ほとんどの人がうちには関係のないことと思って聞いているからです。
そもそも「相続」とは、「相」を「続」けると書きます。 「相」は「人相」や「手相」の「相」で、「すがた」という意味です。 したがって、相続とは本来、財産だけでなくその家の考え方、親や先祖の教えを引き継ぎ後世へと伝えていく、ということなのです。 ところが、昭和23年に新民法で法定相続が規定されてから、相続人は財産をもらう権利だけを主張するようになるのです。 それまでいわゆる戦前は、我が国は家督相続でした。 家督相続は長男がすべて相続し、その代わり一族郎党すべての面倒を見るのです。 長男は権利だけでなく、それ以上の義務も引き継いだのです。 それが今は法定相続分の権利しか法律に書かれていないため、権利の主張で争うようになったのです。
残念ながら、このような話をする専門家はほとんどなく、メディアも面白おかしく伝えるだけです。 その上に今年の相続税改正です。 争いが増えない方がおかしいと思いませんか? やはり、相続対策が重要です。 相続では3つの対策が必要で、財産の分割、相続税の節税、そして納税資金の確保です。 財産の分割はどうすればいいのか、相続税を減らすためには生前に何をすればいいのか、財産はあっても実際に相続税は払えるのか、これらの不安を一つ一つ解消していかなければなりません。何年もかけて行う作業です。 それを、いざという時になってから慌てても遅いのです。 まずは、すべての財産を把握し、時価評価することから始めなければなりません。 万全の準備は難しいかもしれませんが、生きてる間の最後の大仕事です。 そして、それを子供に伝え、本来相続してほしい教えを伝えることが重要です。 私も最大限にサポートをさせていただけたらと思います。今後ともよろしくお願い致します。