コラム『所長の眼鏡』

笑点が愛される理由2016.06.01

 先月、あの長寿番組『笑点』の司会を桂歌丸師匠が降板したことで話題になりました。 私は毎週楽しみにしているわけでもないのですが、日曜日の夕方に家にいて、たまたまあのオープニング曲が流れてくるとなぜか癒されます。 番組が50年、当初から出演し続けていた桂歌丸師匠も50年と、まさに偉業ですね。
では、なぜ『笑点』は50年も続いたのでしょうか。 若手といわれるオレンジの太平が51歳、 若返りが必要ということで新しく司会者となる白の昇太が56歳、 降板した歌丸師匠が79歳、 黄色の木久扇が78歳、 水色の小遊三とピンクの好楽が69歳、 紫の円楽が66歳、 座布団運びの山田君ですら59歳というロートル集団は、 超高齢社会の日本の縮図のようにも見えます。
笑点
中小企業や商店も同じようなもので、今や60代の看板娘や80代の店員も珍しくありません。 にもかかわらず、テレビ番組は新しさや若さを重宝し、老兵は消え去れと言わんばかりです。 本当にテレビを支えているのはその世代なのに…。
そんな中、『笑点』は数少ない中高年に愛される番組として存在していますが、人気の秘密はそれだけではありません。 最近は病気で休んだり、復帰したり、途中で答えを忘れたり、つまったりと、笑点メンバーの動向にも目が離せなくなり、木久扇が手を挙げたら、ちゃんと答えられるのかドキドキハラハラします。 笑いを取れたら拍手喝采です。 病み上がりの歌丸師匠に「来年まで生きられるか」と言ってのけたり、結婚できない昇太に「早く結婚しなさいよ」とたしなめたり、この番組の良さは何でも言い合えるところにあります。
今の社会でこのようなことを言うようなものなら、即、セクハラだ、パワハラだと面倒なご時世です。 人の生き死にを笑いにするのは品のいいことではないですが、視聴者は治外法権の『笑点』にホッとしたものを感じるのではないでしょうか。

東京商工リサーチ社の調べによると、創業5年以内の80%が倒産もしくは廃業、10年以内となると95%もの会社が倒産もしくは廃業に追い込まれているそうです。 この数字が物語っている通り、長続きするビジネスを構築するのは並大抵のことではありません。
多くの経営者は、「何とかして会社を成長させたい…」と願い、毎日他人の何倍も働いています。 とはいえ、その努力が間違った方向だった…、効率が悪かった…、販売方法が間違っていた…ということで倒産に追い込まれる会社が跡を絶ちません。 ようするに、こんなはずじゃなかった…という結果です。
そういう会社の特徴は、「あなたの会社の強みは?」という質問に対し、即答できずに「なんだろう?」と悩むか、的外れな回答しかしないことが多いのです。
日本には、創業100年企業が26,000社あります。 200年以上では1,200社、300年以上で600社、500年を超える企業が40社もあります。 世界全体で見ると、創業200年を超える会社のなんと40%以上が日本に存在しているそうです。
『笑点』なんかまだかわいいもんですが、どの会社も長く愛される秘訣を持っているのでしょう。 次の日曜日の夕方に、一度自分の会社の強みを「大喜利」で表現してみてはいかがでしょうか?笑