コラム『所長の眼鏡』

仕事って何ですか?2017.09.01

 最近、どこに行っても人に関する話が増えてきました。 経営者は従業員の働きにについて不満を持っており、従業員は職場での働き方に不満を持っているのでしょう。

そもそも、「仕事って何ですか?」と聞かれたとき、皆さんはどう答えますか?…なかなか答えにくいですよね。 では、「作業って何ですか?」と聞かれたらどうですか?…まだ作業の方が答えられそうですよね。 作業」とは、すでに決まっている行動、それに対して「仕事」とは、自ら決める行動です。 この定義がきちんとできていない会社が非常に多いです。 このように定義づけをすると、普段行っている業務というのは、大半が仕事ではなく、作業と言えるかもしれません。


では、自ら決めて行動することが「仕事」だとすると、会社で一番仕事をしているのは? 当然社長ということになります。 一般の平社員がすべて自ら決めて行動していたら怖いですよね。 ところが、社長に「最近どうですか?」と聞くと、「めっちゃ忙しいよ~」と返ってくる会社が、すべて儲かっているとは限りません。 そういう会社は、社長が仕事をしているのではなく、社長が作業をしているのです。

このように「仕事」とは、自ら決める行動だとすると、言い換えると、「仕事」とは「決める」ことです。 では、「決める」とは何ですか? 例えば、ランチを食べる時に、今日はカレーにしようかラーメンにしようか悩んでいるとします。 最終的に「今日はカレーにしよう!」と決めたとします。 この時に何が起こったか、あなたは迷っていたラーメンを捨てたことになります。 すなわち、「決める」こととは、「捨てる」ことなんです。 今この瞬間が大事で、過去も未来もなく、何かを決めたら何かを捨てるという意識が大事です。 学生の頃、テスト勉強をするのに5時に起きよう!と決めます。 いつもより睡眠時間を2時間捨てることを決めるのです。 でも起きれなかった…。起きたら7時だった。 こういう経験をした人もいると思います。 これは、前の晩5時に起きようと決めたことになりません。思っただけです。 捨てると思うは違うのです。

すなわち、「仕事」とは「決める」こと、「決める」こととは「捨てる」ことなんです。 ところが、職場では自由に個人の裁量に任せるといって、細かいことまでいちいち決めないケースもあります。


例えば、掃除の日や時間、役割分担などが決まっていない会社はいつもキレイにされているでしょうか? いつか誰かが掃除をするというトイレは、いつもキレイになっているでしょうか? おそらく難しいと思います。 これが決まっていない会社は、おそらくすごいストレスだと思います。

例えば、ホワイトボードにあるイレイザーを右端に置くと決めておいたとします。 そうすれば、誰が使っても、その後は右端に置くだけで済みます。 ところが何も決まっていなかったとすると、使った人は思い思いバラバラに置きます。 しかし、それが気に入らない社長が「真ん中に置くな!」と怒ったとします。 ところが、どこに置くかが決まっていないのに、真ん中に置くなと怒られれば、使った人はどこに置けばいいのか考えることになります。 この考えるということが無駄になるのです。 このようなことは日常にあふれていますが、このような一つ一つをきちっと決めていくことが仕事で、後はその決められたことに従って作業をしていくだけです。 こういうことがきちっとできる会社が自然と業績も良くなっていくのです。