コラム『所長の眼鏡』
平成最後のコラム2019.04.01
いよいよ「平成」も残すところあと1カ月となりました。
そして、皆さんがこのコラムをお読みになっているときには、すでに新しい元号が発表されているはずです。
今年に限っては、春の訪れとともに新年度というより、新元号といったところでしょうか。
当事務所では、毎朝朝礼で2分間スピーチを行っていますが、現在のテーマは「平成の思い出」です。
皆それぞれに平成の思い出があり、聞いていると非常に面白いです。
人々の中に懐かしい思い出として残っている平成ですが、昭和生まれの人は一気に番付が上がるような気がして嫌ですね笑。
「年は取りたくない」と言いますが、元号は取りたくないですね。
新元号がスタートするとまた新たな機運が高まり、世の中も明るくなるのでしょうが、この寂しい思いが強い中、平成の最後の最後に「イチロー引退」という残念なニュースが飛び込んできました。
まさに一つの時代が終わるという感じです。
連日ニュースで取り上げられ、今後も特集が組まれるでしょうから、今さら彼の記録やエピソードについて語る必要はないでしょう。
そんな中、私が目を引いたのは、彼のメジャーでの契約内容です。
イチローは2001年のメジャー挑戦時にマリナーズと3年総額約1400万ドル(約15億4000万円)の契約を結びましたが、そのうち半分と利子分は後払いで受け取る内容にしていたそうです。
その後、イチローは2004年から07年まで4年総額4400万ドル(約48億3600万円)でマリナーズと契約を延長、3度目の2007年には5年9000万ドル(約99億円)の大型契約を結んでいます。
その際、毎年500万ドル(約5億5000万円)分が後払いに設定されています。
総額2500万ドル(約27億5000万円)に5.5%という利子を乗せた金額をマリナーズに預けている状況で、受け取りは引退翌年の来年1月からスタートするそうです。
あまりに桁が多すぎて実感がわきませんし、とても使いきれる額ではないと思いますが、アスリートの中には現役時代に大金を手にしながら、引退後に自己破産したり身を持ち崩すケースもありますが、背番号51は引退後も人生を豊かにするため、戦略的な計画を立てる「先見の明」があったのです。
非の打ち所のない完璧主義者というのは彼のことを言うのでしょうね。
さて、本当に「平成」もあと1カ月で終わりです。
日本がバブル景気で浮かれている昭和64年1月7日、昭和天皇が崩御しました。
突然幕を下ろした「昭和」から一転、「平成」に入って最も大きな国内の事件は、バブル崩壊です。
「失われた20年」と呼ばれる時代を耐えながら、阪神・淡路大震災、東日本大震災という2つの大地震を経験し、原発事故は世界中に衝撃を与えました。
世界に目を向けると、ソ連が崩壊し、東西冷戦が終結しました。
一方で、中国が膨張し、狂気の北朝鮮が核開発という暴挙に出ました。
平成の30年間は「歴史」と見るには時期尚早で、いずれ私たちの子や孫の世代が振り返り、冷静な判断を下すのでしょうが、日本が初めて戦争を経験しなかった時代でもあります。
それは同時に、平和ボケした時代であったともいえるでしょう。
次の30年後、はたして日本はどのような国になっているのでしょうか。