コラム『所長の眼鏡』
もしあなたが船長だったら
今、世界各国の人々が乗った豪華客船が沈没しかかっています。
しかし、乗客の数に比べて、脱出ボートの数が足りない。
そのため船長は、沈みゆく船から乗客の命を救うために、見捨てる乗客に海に飛び込んでもらわなければなりません。
どうすれば一刻も早く飛び込んでもらえるでしょうか?
もしあなたが船長だったら…何と言えば、人は動いてくれるでしょうか?
様々な国の国民性を知り尽くした船長は、考え抜いた末に、それぞれの国の乗客に対して、次のように言って説得しました。
アメリカ人に対して、「今飛び込めば、あなたはヒーローになれますよ」
イタリア人に対して、「飛び込んだら、たくさんの女性にモテますよ」
ロシア人に対して、「海にウォッカの瓶が浮いていますよ」
ドイツ人に対して、「ルールですから、飛び込まなくてはいけません」
フランス人に対して、「決して海には飛び込まないでください」
そして、日本人に対してはこう言いました。「ほら、みんな飛び込んでいるじゃないですか」
さて、ご存知の方も多いかと思いますが、これは「沈没船ジョーク」と言われており、様々な国の国民性を端的に表した有名なジョークです。
日本人は、横並びの意識が強いと言われています。
「皆がそうしているから…」「信頼しているあの人がこう言うから…」といった理由で、自分の意思とは関係なく決断・行動してしまうことも多いです。
流されやすいとも言えますが、良い方向に作用した時は、法定拘束力がない緊急事態宣言でも見事に自粛しましたし、逆にマスクをしていないと悪者になってしまうほどです。
ところが、悪い方向に作用した時は、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と、ホストクラブで騒いでしまったりするわけです。
これは若者に限らず、お酒を飲む場は、酔うために行っているわけで、感染のリスクが増すのは当たり前です。
酔っ払いにいくら説教しても聞いてませんから。笑
ところが、横並びとはいかないのが「Go To トラベルキャンペーン」です。安倍首相もとうとう焼きが回ったのか、政府も相当混乱しているんでしょうね。
人はどう動けばいいかわからないとき、無意識のうちに共通点のある他者を参考にしてしまいます。
先のジョークの例で言えば、船長が日本人の乗客に直接「飛び込んでください」とお願いするよりも、「第三者が飛び込んでいる」という事実を示す方がずっと効果的というわけです。
このことは、実は営業トークをするときにも当てはまります。
多くの場合、見込み客はあなたの営業トークを警戒しています。
そして、ほとんどの営業マンが、このことに頭を悩ませています。
ということは、船長は「多くの人のお墨付きをもらうこと」でその警戒心を解き、売上アップにつなげることができるはずです。
ちなみに沈没船の話ですが、日本人でも「関西人」を説得するときだけは違うそうで、関西人に飛び込んでもらうために最も効果的なのは「阪神が優勝しましたよ!」と言うことだそうです。
バカにされてるようで腹が立ちますが、何も言い返せませんね。笑