コラム『所長の眼鏡』

20年顧客を生み続ける資生堂の広告

 

 

日本最大の化粧品メーカー「資生堂」、化粧品やシャンプーなど、女性向けの商品を販売しているイメージがすごく強いですが、実は、男性用の制汗剤や化粧品も多く販売しています。

 

1999年頃、資生堂が世の中の40代〜50代男性を一気に顧客に変えるために仕掛けた、ある1つのプロモーションがあります。

今でこそ「美容男子」という言葉があるくらいで、男性が化粧品や美容液・制汗剤を使うのは当たり前になっていますが、当時はまだ、ほとんどの男性にとって「美容」商品は馴染みのないものでした。

 

この状況の中で、資生堂はどんなプロモーションを行なったのでしょうか?試供品を配ったり、有名タレントを起用してテレビCMを流したり、というありきたりな方法ではなく、資生堂は1つの『新しい言葉』を生み出したのです。

 

資生堂の商品開発チームは、世の中の40代〜50代の男性が、似たような悩みを抱えていることに着目しました。

突然、奥さんや娘から「お父さん、臭い」と言われるようになる…。

多くの男性が、歳とともに増す嫌な臭いに悩んでいることに気がついたのです。

そこに目をつけた資生堂チームは、その臭いを研究し、ある1つの成分を発見しました。

そして、その「臭いの成分」にこんな名前をつけました。

 

『加齢臭』 ( ̄▽ ̄)

 

いま、我々が普通に使っている「加齢臭」という言葉は、この時の資生堂のプロモーションによって生み出されたのです。

そして、このプロモーションでは「40代になると、突然臭いが気になり始めるのは、この『加齢臭』が原因です!」と、大々的にアピールしたのでした。

そこから、「加齢臭をケアする」と名の付くシャンプーや制汗剤がものすごく売れたのは言うまでもありません。

今もなお、「加齢臭」を解決する商品は売れ続けています。

 

この事例、すごく面白いですよね。

それまで「自分の体臭って臭いのかな…」「奥さんに最近避けられてるな…」

とぼんやり悩みながらも、特に何もしてこなかった多くの人たちが、「その原因は加齢臭だ」と分かった途端、それを解決するために商品を買い始めるわけですから。

 

 

これはものすごく重要な視点で、多くのお客様は、悩んではいてもその原因はよく分かっていないものです。

そして、原因が分からないと、具体的な解決策を取ることも出来ません。

したがって、まずやらなければならないのは、お客様が抱えている悩みの『原因』をしっかりと伝えてあげることです。

 

①お客様の「悩み」をピックアップする、②その悩みの「原因」を指摘する、③その原因を解消する商品を提案する。

この順番がとても大事だということです。

特に、ステップ2の「原因を指摘する」というところがポイントです。

多くの人は、「問題の原因」を伝えることなく、商品のセールスに入ってしまいます。

そうではなく、まずは、「今あなたが抱えている悩みの原因はこれです」としっかりと伝えてから、商品の案内をするようにすると、プロモーションの成功確率はグンと上がると思います。

 

良いプロモーションを作って、優れた商品・サービスを多くの人に広めていきたいものです。