コラム『所長の眼鏡』
ゴールドラッシュで大儲けした24歳の青年2021.05.01
また、緊急事態宣言・・・ウィルスってほんと脅威ですよね。
寝ても覚めてもコロナ、人と会ってもまずコロナの話から入ります。
人間はある一点に集中しすぎるときがあり、物事を俯瞰してみることが大事です。
1848年のサンフランシスコ。シリコンバレーで有名なこの都市は、当時、人口1万にも満たない小さな開拓村でした。
しかし、ある時「金が見つかったぞ!一攫千金のチャンスだ!」すると、どこからともなく噂を聞きつけたゴールド・シーカー(金を求める者)が殺到しました。
いわゆるゴールドラッシュです。
それから10年ちょっとでこの村の人口は5万人、10万人、30万人と膨らみ続けました。
金の採掘者たちは、夢を抱いてこの地に集まったのです。家族に良い家を与えたい、美味しい食べ物をたくさん食べさせて豊かな暮らしを送りたい。
しかし、彼らは裕福に暮らすことはなく、夢を実現することなく、ほとんどの人は初期費用さえ回収できずに飢えていったのです。
ドイツからやってきた、24歳の青年ストラウス。
彼もまたゴールドラッシュに魅惑された1人でした。
しかし、彼はここで「意外な行動」を取ります。
一体、何をしたのか?答えはシンプルです。
彼は、採掘場で働く労働者たちを観察し、労働者たちの声に耳を傾けました。
そして彼は、労働者に必要な商品を売ったのです。
労働者は増える一方だったので、そこは巨大なマーケットとなり、その商品はバカ売れしました。
ゴールドラッシュは人を突き動かす、何か強い力が存在したのです。
そう、彼が探していたのは、「金」ではなく「チャンス」でした。
彼は「労働者として」働くのではなく、「労働者に」必要な商品を売ったのです。
それから150年、彼の小さな会社は、100ヵ国以上に展開する世界的な企業に成長し、さらに、彼の小さな会社が売り始めた商品は、6兆円規模の一大産業を生み出しました。
他メーカーも合わせると生産量は、なんと年間30億個。
単純計算で、世界のおよそ半分の人の生活を支える商品となったのです。
これは、とても大事な教訓で、どんなに大きなチャンスに見えても、考えもなくブームやトレンドに飛びついてはいけないということです。
もちろんトレンドは無視できませんし、そこには大きなチャンスがあります。
下りエスカレーターを登ろうとしても全然進まないのが、上りエスカレーターは数倍ラクに進めます。
しかも同じだけのエネルギーなのに、数倍のスピードで前進できます。
それが「トレンドの力」です。
しかし、ブームやトレンドに踊らされていたら、貴重な時間、貴重なお金は無駄になってしまいます。
だからこのコロナ禍においては、少し視点を変えて、
「どうやったらこのコロナ禍を利用できるか?」
そう考えてみると、トレンドの中にある、本当のチャンスを見つけられるかもしれません。
「リーバイ・ストラウス」
これが、24歳でドイツから米国にやってきた青年の名前です。
彼は、ゴールドラッシュで殺到する労働者に破れにくいワークパンツを販売し、この大ヒット商品は、後に「リーバイス501」となり、ジーンズ産業の開拓者となったのです。
他にも、実はゴールドラッシュでひと財産を築いた人たちというのは、スコップやシャベル、テントなどを売った人たちで、トレンドに飛びつくか、「トレンドの力」を利用するかで結果が大きく変わるということです。