コラム『所長の眼鏡』

インテル入ってる2021.07.01

 

「インテル入ってる」で有名なプロセッサやチップのNo.1で、あらゆるパソコンの「脳みそ」を作っている、あのインテルが何度も潰れかけているのをご存じですか。

 

 

インテルといえば、圧倒的な技術力とマーケティング力でシェアを広げ、順風満帆にきたと思っていましたが、実際は何度も潰れかけていて、しかもその倒産の危機は2-3年おきにくるようなイメージです。

そもそもハイテク産業、シリコンバレー界隈の会社はそういうもので、まず、業界のルールの変わるスピードが早すぎます。

有名な「ムーアの法則」では、「半導体の集積率は18ヶ月で倍になる」とされており、まぁ詳しくは知りませんが笑、2年弱ごとに性能が2倍になって、コストは半額になって、日常的にイノベーションが起きまくるみたいな話です。

そして、ある分野では100社以上が競っていたのが、最後に残ったのは10社だけ。

しかも残った企業も安心はできません。

また新しいプレーヤーがどんどん参入してきて、すぐに蹴落とされるという世界です。

 

インテルも例外ではなく、ほぼ独占状態だったメモリ事業の市場シェアは、数年後、わずか10%にまで減少し、事業赤字が何年も続き、もう撤退しかないと考える人もいました。

しかし、メモリ事業はインテルの始まりで、創業メンバーや古株の社員はつよい愛着を持っていたので、この事業を畳むことはアイデンティティの喪失を意味しました。

さらに、この事業撤退は古株も含めてかなりの数の社員を解雇することでもありました。

 

経営陣が決断を迫られていた、1985年のある日のこと。

インテルのCEOアンディ・グローブと「ムーアの法則」で有名な共同創業者のゴードン・ムーアは、窓から遊園地の観覧車が回るのをぼんやりと眺めていました。

そして、グローブが「もし僕たちがクビになって、取締会が新しいCEOを連れてきたら、そいつは何をするだろう?」と尋ねると、ゴードンは即座に答えました。

「メモリ事業から撤退するだろう…」

 

グローブは驚きを隠せませんでしたが、「じゃあ、僕らが一度会社を辞め、戻ってきたつもりになってそれをやればいいんじゃないか」と言ったそうです。

そしてインテルは、メモリ事業から撤退し、でもそこからまた這い上がり、彼らは、新たな分野でナンバーワンになったのです。

 

コロナが来てたった1年で、いろんなことが変化しました。

そして今後も変化は続きます。

そんな中で、私たちも変わっていきます。

変化の時こそ大きなチャンスが生まれると言いますが、「でも、やっぱり…」となったとき、「もし自分がクビになって、代わりに新しい人がやってきたら何をするだろうか?」と考えてみ

るのもいいかもしれません。

 

ただ、そんなハイテク産業の倒産ラッシュの中、インテルは上場15年で初めて赤字を計上、従業員の解雇も避けられず、そんな逆境の中でも、彼らがやめなかったことが1つありました。

それは、投資です。

なんと彼らは売上の30%を開発投資・設備投資に注ぎ込んでいました。

普通はその場を凌ぐために投資を減らします。

30%もあるなら、短期的に見ればこれをカットするだけで黒字にもできたでしょう。

でも彼らは、未来への投資を続け、その結果インテルは、状況が好転して来た時、技術力、生産力で一気に優位に立つことができたそうです。