コラム『所長の眼鏡』

ナイアガラの滝を綱渡りする男2021.12.01

 

早いもので、今年もあと1か月ですね。

コロナは今のところ落ち着いていますが、4、5か月後に今の欧州のような第6波が来るといわれていますし、新しい変異株が現れて一気に広まるかもしれません。

経済環境も、ウッドショック、半導体不足、原油高と、先の見えない要素が次々と襲ってきています。

情報には注視しつつ、振り回されないようにしないといけませんが、何を信じればいいのか・・・。

 

1859年、チャールズ・ブロンディンという綱渡りの達人が、ニューヨーク・タイムズに一本の広告を打ちました。

「ナイアガラの滝に一本の綱を通して、そこを渡る」と。

高さは50m、長さは335mの細い綱です。

 

当日、約5000人の見物人が訪れ、彼は集まった観衆を前にして問いかけました。

「私がこの綱を無事に渡って帰ってこられると信じる人は何人いますか?」

 

観衆は拍手で彼を信じることを示し、彼は見事に綱の上を渡って帰ってきました。

そして、彼はまた観衆に問います。

「私が無事、手押し一輪車を押して渡って帰ってこられると信じる人は何人いますか?」

 

観衆はまたも拍手で信じることを示し、そしてまた彼も細い綱の上を無事、手押し一輪車を押して帰ってきたのです。

そして、彼はまた問います。

「私が誰か人を背負って、この綱を渡って帰ってこられると信じる人は何人いますか?」

 

観衆はまたも拍手で彼を信じていることを示しました。

手押し車もできたんだから、彼なら人一人くらい背負って歩けるだろう。

ブロンディンは、さらに続けて問いました。

「では、あなた方のうち、誰が私の肩に乗りますか?」

 

これにはさすがに誰も応えませんでした。

先ほどの5000人のうち、ほぼすべての人が彼を信じていると言ったにも拘わらず…。

もしここで誰も彼を信じなかったら、彼の名前は永久に消えていたかもしれません。

しかし!長い沈黙の後、たった一人、5000人の観客の中から名乗り出た人がいました。

ブロンディンの親友です。

 

 

ブロンディンは親友を肩に乗せ、見事ナイアガラの上に架かる綱を渡り終えたのです。

 

こうしてブロンディンは、人間を担いでナイアガラの滝を綱渡りした世界で最初の人となり、そしてまた彼の親友も、担がれてナイアガラの滝を綱渡りした世界で初めての人になったのです。

 

本当に信じるというのは「行動」を伴うことであり、成功するためにはそのような親友を持つことが必要なのかもしれません。

皆さんはこの話から何を感じ取りますか?私はこの話自体がいまだに信じられませんが…笑。

 

1859年と言えば、日本はまだ江戸時代で、安政の大獄のあった年です。

大老井伊直弼は、徳川慶喜を隠居謹慎させ、橋本佐内や吉田松陰らを斬首刑にしました。

そこから堰を切ったように明治維新へと時代は変革していくのですが、奇しくもこの時、江戸ではコレラが大流行しています。

この時代の人々は何の情報もなく、それこそ何を信じればいいのか不安でたまらなかったはずです。

 

今は逆に情報やフェイクニュースが多すぎて何を信じればいいのかわからなくなりますが、来年はせめてコロナだけでも収まってほしいものです。