コラム『所長の眼鏡』

たった1人に響くメッセージ2022.01.01

 

新年を迎え2022年がスタートしました。

昨年末からオミクロン株が広がりを見せていますが、もういい加減にしてほしい、今年こそは、と世界中の人が思っていることでしょう。

 

新型コロナウィルスは、たった一人の感染から世界中に広がりました。

よくよく考えてみると、感染も噂も口コミも、最初の一人目が必ずいます。

それで思ったのですが、ある商店街を歩いていると「あ~、ちょっとちょっと」と突然声をかけられます。

ん?と思って様子を伺っていると、再度同じ声がします。

 

「天神橋筋商店街1丁目から3丁目までは、10時から20時まで自転車に乗ったらあかんのですわ。すんませーん!協力してくださ~い」

 

そう、アナウンスです。

商店街のスピーカーから陽気なおじさんが自転車から降りるように呼びかけています。

ここに素晴らしいマーケティングが潜んでいます。

多くの人に伝えたい言葉を、たった1人に向けて呼びかけているのです。

 

この天神橋筋商店街は、大阪にある日本一長いアーケード商店街で、近年、自転車と歩行者との接触事故が多発していたそうです。

商店街のあちこちに「自転車は押して通行いただきますよう ご協力よろしくお願いします」という大型ポスターが貼られていました。

しかし、声は届かず、自転車で通行する人は後を経ちませんでした。

そんな中で誕生したのが、先ほど紹介した商店街のアナウンスです。

落語家が関西弁で必死に訴えています。

 

これを耳にすると、”あれ、私に言われてる?”と思わず足を止めてしまいます。

ガヤガヤ騒がしい商店街の中ではっきりと聞こえます。

横を通り抜けていった自転車の男性もその場で停止。

この男性もきっと「自分に言われている!」と思ったのでしょう。

なんと自転車から降りて押し始めたのです。

そして、その後のアナウンスにさらに驚かされます。

男性が自転車を押し始めた直後、「そうそう、自転車は押してってもらえると。ほんま、おーきに!」と流れるのです。

放送だと分かっているのに、どこか近くで見てる?と思うくらいの絶妙なタイミングです。

 

このアナウンス、何が一線を画していたかというと、「自分に言われている!」と強く感じさせることができていることです。

 

 

 

 

 

 

 

多くの人に届けたいなら、逆にターゲットをたった1人に絞る必要があるのです。

この話は道路マナーの話ですが、これはビジネスでも同じです。

いい商品や、いいサービスを持っていると、ついついターゲットを広げてしまいがちで、多くの人に届けたいと思えば思うほど、「皆さん」というメッセージになってしまいます。

しかし、それでは商品の良さは誰にも伝わりません。

遠くから「皆さ~ん!」って言われるのと、名前で「○○さ〜ん!」って言われるのと、どちらが注意をひくでしょうか。

 

売上を上げたいのにターゲットを絞るというのは非常に難しい判断です。

そんな時でも、まずは1人に絞る。

1つ目のメッセージが完成したら、次は2人目、3人目と順番に思い浮かべて、ターゲットの分だけメッセージを作ればいいのです。

「100人に響く1メッセージ」はありません。

今年は「1人に響くメッセージを100個」つくりましょう。

 

本年も、宜しくお願い致します。