コラム『所長の眼鏡』

中小企業が今為すべきこと2009.02.01

 

1955年、アメリカ合衆国。

奴隷解放宣言から約100年たっていたにもかかわらず、バスなどの交通機関やレストラン、学校など公共の場所での人種隔離を定める法律が施行されていました。

アラバマ州モンゴメリーで12月、市バス前方の白人優先席に座っていた黒人女性のローザ・パークスさん(故人)は、白人に座席を譲るよう要請されたが拒否し逮捕されてしまいました。

そのため黒人たちは怒り、青年だったマーティン・ルーサー・キング氏らが中心となって抗議運動が高まっていったのです。

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後に「公民権運動の母」と呼ばれるパークスさんの逮捕から8年後の1963年、キング牧師らの呼びかけで、人種差別撤廃を求めて行われたワシントン大行進に20万人以上が参加し、このとき、あの有名な演説が行われたのです。

「I have a dream(私には夢がある)…」

それから45年…。

ハワイ出身のバラク・オバマ氏が黒人初の大統領に就任しました。

世界的な金融不安の震源となったのは、他ならぬアメリカで、ビッグ3の経営危機、サブプライムローン問題、リーマンショック、失業率の上昇、消費の縮小…、オバマ新政権は「100年に一度の」荒波に立ち向かうことになります。

昨年の11月19日、民主党の下院議員は「タキシード姿の気取った人間が無料食堂に現れるようなもので、少しばかり釈然としない」と、ビッグ3のトップがプライベートジェット機でワシントン入りしていたことを皮肉り、「自家用機は今売って、商業便で帰ろうという人は挙手を」と尋ねても、トップ3人は無言、無反応でした。

その後、米上院はGMとクライスラーへの緊急つなぎ融資法案を一度否決しましたが、経営者のこういった姿勢が現在の事態を引き起こす要因になったのであれば、よほど危機意識が低いと思われます。

オバマ大統領は就任演説の中で、「一部の豊かな者のみを優遇する国は長く繁栄することはできない」と切り捨て、「Change(変革)」を連呼し、「新ニューディール政策」を掲げています。

ニューディールとは、トランプゲームなどで、親が手持ちのカードをすべて配り直すことで、30年代の世界恐慌を乗り越えたフランクリン・ルーズベルト元大統領の看板政策です。

今度はオバマ大統領がカードを配り直し、アメリカ経済、世界経済の新たなゲームが始まります。

政策の中心となるのは減税や公共投資、融資の拡大などですが、すぐに効果が出るかどうかは未知数です。

アメリカでは常に「就任最初の100日」が政権に対する評価の最初のタイミングとされているだけに、悠長にもしていられないところでしょう。

その100日となると、4月。

奇しくもわが国で国民から非難をかっている定額給付金の支給が3月末から4月にかけてといわれており、その4月か5月頃には、解散総選挙ではないかとささやかれ始めました。

どうやら4月は注目の月となりそうです。

そこで急遽、事務所主催で4月3日(金)に「経営者セミナー」 を開催することにしました。

今回は東京大学を卒業後、住友電工から経済企画庁へ出向されるなど、数々のご経歴を持ち、現在は経済アナリストとしてご活躍の藤原直哉氏をお招きし、「世界経済の動向から中小企業が今為すべきこと」についてご講演頂く予定です。

取引先にもお声がけの上、是非ご参加ください。