コラム『所長の眼鏡』
営業で絶対に断られない方法2011.06.01
東日本大震災から2ヵ月半が経ちましたが、皆様にも何らかの影響があろうかと思います。
まだまだ復興どころか、原発の問題で先が全く見えません。
今後も復興特需が見込まれる事業以外は消費が上向くことは考えにくいでしょう。
しかし以前からこのコラムで、缶切りの発明や刃を研がない樵(きこり)の既成概念の話を何度もさせていただいているように、ビジネスの世界では決して既成概念にとらわれてはいけません。
すなわち、トンネルのような限られた狭い視野(トンネルビジョン)ではなく、その反対の広く自由な視野(ファネルビジョン)を持たなければならないのです。
これは自分の思い込みのことで、人は自然と自分の聞きたい話しか聞かないそうです。
だから、「そんなことできるはずがない」「うちは特殊だから…」という言葉をよく耳にしますが、この場合、自分のビジネスの視野を広げるという努力をすればいいのです。
しかし、消費が落ち込んでいる今の時期、実はもっと厄介なことがあります。
・・・それは、お客様もトンネルビジョンだということです。
お客様は当然自分のニーズに合ったものしか買わないので、視野が狭いのは当たり前です。
しかも今のような景気の状況では至極当たり前のことです。
しかし、松下幸之助は「商人に好不況はない。いずれにしても儲けなければならない。」と言っています。
なんという説得力!と思ってしまいますが、反論の余地がありません。
例えば、コスト0円で売上げも利益も上がる方法はありますか?
マクドナルドに行かれたことがある方で、こんな経験をしたことはありませんか?
ポテトやハンバーガーを買った直後に「ご一緒にドリンクはいかがでしょうか」と聞かれます。
これは、一般に「クロスセリング」といわれる手法で、販売の直後にたった一言を追加するだけで感情が揺れ販売が成立します。
居酒屋で「本日のおすすめ」を薦められると、ついつい注文してしまうのと同じです。
スーツやシャツを買いに行ったときに、「このスーツに合うネクタイはいかがですか?」と薦められるのも同じです。
製造業でも「こんな物も作れますよ」という一言がなければ相手は分からないかもしれません。
この「クロスセリング」が自然とできるできないとでは、その店や会社の売上げは大きく違ってくるでしょう。
しかし、これだけで簡単に売上げが上がれば誰も苦労はしません。
要らない人は要らないでしょうし、逆に薦められると嫌になってしまう人もいるでしょう。
では、営業で絶対に断られない方法はあるのでしょうか…?
「断られる前に引けば断られることはない」と言った人がいますが、それでは商談が成り立ちません。
それは、「お客様が断る理由を全部なくす」ことです。
すなわち、断りようのない提案をするということです。お客様が買わない最大の理由は何でしょうか?
それはお客様がその取引にリスクを感じているからです。そのリスクをすべて取り外してあげることができれば、断りようのない提案となるはずです。
これを「リスクリバーサル」といいますが、試作品やCMで「もし気に入らなければ全額返金します」というのはこの考え方です。
その商品やサービスにあるリスクは何か?
その商品にどれだけの信頼性、安全性などの付加価値を与えることができるかが重要です。