事務所ブログ

社会保険料適正化の適正化2015.11.12

 朝晩の冷え込みが顕著になってきました。。。 ありきたりの質問ですが、皆さんは夏と冬ではどちらがお好きでしょうか? 私は断然夏です! 毎朝、あまりの寒さに涙目になってしまう冬より、少々寝汗かいても暑い夏の方がマシです(^^;)
さて、今回は社会保険料適正化(削減)スキームとして、これまで一部の事業所で用いられていた手法について、 厚生労働省の担当部局が正式に「待った」をかけた話題をご紹介したいと思います。
周知のように、社会保険料は経営上の大きな負担となっています。 一昔前までは、賞与には社会保険料がかからなかった時代もありましたが、現在は賞与にも社会保険料はかかるようになりました。 ただし、社会保険において賞与とは、年3回以下の一定時期に支給されるものを指し、年4回以上支給されるまとまった金銭は月々の報酬と同じように扱われることになっていました
そこで、この取扱を利用して、査定された賞与を毎月の報酬に振り分けて社会保険料を削減する手法が存在していました。 例えば夏と冬に各60万円ずつ、年間合計120万円の賞与を支給することが決定していたとします。 通常であれば、この120万円の賞与に係る社会保険料は、 120万円×(健康保険11.62%+厚生年金17.828%)=353,376円 となります。
しかし、この120万円の賞与を1月と7月に597,500円ずつ、他の月に500円ずつ固定額として振り分けて支給することにより、4月と10月に増額の月額変更、5月と11月に減額の月額変更に該当することとなり、結果120万円の支給に対する社会保険料を100,326円に抑えることが事実上可能でした。
ただし、このスキームは従来より疑義があり、賞与とは社会通念上一定時期に支給するものでしょうし、分割支給すべき特段の事由があったとしても、それはそれで分割分をまとめて1回の賞与支給とみなして取り扱うこととされていました。
今回、こうしたいわば脱法的な賞与支給の在り方について通知が出され、給与規程等で賞与の分割支給が定められている場合は、月々均等に振り分けて標準報酬月額を決定することとされました(平成27年9月18日厚生労働省保険局保険課長・年金事業管理課長連名通知)。
社会保険料適正化(削減)と謳われるスキームは、一定額以上の報酬を受けておられる方の賞与の取り扱いを工夫したり、選択制確定拠出年金の導入などがあります。
しかし、それが税法上の取り扱いも含めて法的に適正なものであるかどうか?また自社に合った給与制度であるかどうか?などを十分考慮していく必要があると思います。