事務所ブログ
海外派遣者の労災保険2015.12.07
今年も残すところ1か月を切りました。この1年皆さんにとってはどのような年で終りそうでしょうか?残された時間を少しでも有効に使って達成感をもって年末を迎えたいですね! 😀さて、今回は海外で勤務する従業員さんの労災保険の扱いについてお話したいと思います。
労災保険は、「属地主義」のスタンスをとっており、原則日本国内で起こった労働災害、通勤災害についてのみ適用されます。したがって、国内企業の従業員さんが国外の事業場で就業する場合については労災保険の適用外になってしまいます。
しかし、近年国外の支店や営業所へ転勤または出向したり、海外で行われるプロジェクトに一定期間従事するケースなども数多く見受けられます。
そこで、労災保険では「属地主義」を取りながらも、例外的に海外へ派遣される従業員さんについても労災保険の保護対象とする「海外派遣者の特別加入制度」を設けて任意で労災保険の恩恵を受けることができるようにしています。 ただし、国内では従業員の立場であっても、国外の現地事業で代表権を有する立場として派遣される場合は、この特別加入の対象外となってしまう場合がありますので注意が必要です。 また、現地で採用された従業員さんは、国内事業から派遣された訳ではありませんので、当然この特別加入制度の対象外になります。
海外派遣者の特別加入手続きは、派遣元の団体や事業主が、予め特別加入予定者をリストアップして「特別加入申請書」に必要事項を記入したうえで所轄労働基準監督署へ提出します。 その後、申請書に記載された従業員さんが実際に派遣先の事業に従事することになった時点で、「海外派遣に関する報告書」を所轄労働基準監督署を経由して労働局へ提出する必要があります。
この海外派遣者の特別加入制度における保険料は、加入者それぞれの保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)に保険料率3/1000を乗じた額になり、派遣元である事業主負担となります。
労災保険は社会保障制度の中でも、格段に手厚い補償が受けられる制度となっています。 もし御社でもこのような海外勤務の従業員さんがおられましたら、一度加入を検討されてみたらいかがでしょうか?
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