2022.12.01
カタールW杯の真っ最中ですが、ドイツ戦で日本が歴史的な勝利を収めた日は興奮で泣きそうでした。
もう日本中がお祭り騒ぎでしたね。ところが、一転、コスタリカ戦は思いもよらない敗戦でした。
「散歩のついでに富士山に登った人はいない」という言葉がありますが、実際に登ったことのある人ならよくわかるでしょう。
私も登りましたが、万全の準備をしました。それでもご来光を待つ間は山頂で凍えました。
ドイツ戦での勝利は、目標に向かって取り組んできた結果だということが観ていてよくわかりましたが、スペイン戦ではどんなドラマを見せてくれるのでしょうか。
「“現状維持”は後退の始まりである」松下幸之助は、かつてこう言いました。
現状維持で何かを成し遂げられた人などいない。
もしあなたが、何か新しいものを他人とは違う結果を手に入れたいなら、昨日と違う行動を起こさなければならない。
昨日と同じ行動では昨日と同じ結果しか生まれない。いつもと違う行動を取るのは誰だって怖い。
それは、生物として極めて普通のことだ。だから怖い事を恥じる必要はない。
恥じるべきは、その怖さに屈した事だ。いつも心地よい日常から抜け出さなかったことだ。
破滅や失敗は、突然急にはやってこない。真綿で首をしめるかのごとくそれはゆっくりとやってくる。
ゆっくり来ただけに、気がついた時には何も手が打てない。どんな会社も現状維持では繁栄できない。
現状維持は、スローモーションで破綻に向かっているだけのこと。スーパースローなのでその映像が動いていることすら気づかない。
それが現状維持というもんじゃないだろうか?
外に出て、新しい事業のヒントを探そう
外に出て、新しい顧客の悩みを探そう
外に出て、新しい顧客そのものを探そう
現状維持では、お客さんは減っていくだけ。僕たちは、常に新しい顧客を追い求めなければいけない。
失敗のリスクを恐れず、新しいことにチャレンジしよう。それが普通になるまで繰り返そう。とにかく前に進むしかない。
がむしゃらに前に進んでいればチャリンコみたいに気づけば安定してるもの。
さぁ、今日も一歩、前に進もう
目標を設定しないと、一生懸命取り組んでいても、ずっと今のままと変わらないことも多いということです。
とくに経営者は、短期的な目標だけでなく、長期的な目標もしっかりと立てなければなりません。
短期的には、多くの企業にとって今はとても大変な時期です。コロナ禍が長く続き、それをしっかり乗り切ることももちろん重要です。
そして、長期的な目標も必要です。企業の目的に基づき、将来にどういう姿になりたいかという将来構想(ビジョン)です。
例えば「飲食業界で日本一の顧客数を獲得する」、「地域で最もシェアのある病院となる」などです。
そして、短期計画はそれに基づいて策定されなければなりません。
W杯を観て一喜一憂するだけでなく、日本代表からもらった勇気を自分たちも生かさなければなりません。
心地よい日常、現状維持に満足していては、ライバルに先を越されてしまうということです。
2022.11.01
とうとう1ドル150円の壁を突破しましたが、今のところ145円前後をウロウロしています。
日本政府がさらに介入するのか、それとも円高に向かうのかは、誰にもわかりません。。。
ところが、お金に対してすごい嗅覚を持っている人っていますよね。
ピカソとゴッホ、二人とも誰もが知ってる芸術家です。
ところが、この二人の貧富の差は天と地ほどあったことはご存じですか?
ゴッホは生涯2000点近くの絵を描いたのですが、生前に売れたのはたったの一つだけ。
生活にはいつも苦しんでいて、弟のテオがなんとか養っていたそうです。
一方、ピカソは生前から売れていたのですが、この違いは何かというと、自分をブランディングしていたからです。
例えば、ピカソは何かを買うとき、たとえ小額だとしても小切手を使っていたそうです。
小切手は銀行に持って行ってはじめて換金されるわけですが、ほとんどの人は銀行に行かなかったそうです。
なぜかというと、ピカソというブランドに価値があるので、この小切手はいわばピカソのサイン入りの絵みたいなものです。
その小切手自体に価値があると踏んだ店主達は銀行に持ち込むことなく、大事にしまっておいたそうです。
となると、ピカソはどうなるか。
小切手を銀行に持ち込まれないため、支払いの請求がこない。
つまり、タダで商品を得ることができるのです。
これって、すごくないですか?
結果、彼はタダでものを手に入れていたことになります。
また、他にも興味深いエピソードがあります。
シャトームートンロートシルトというワインがあります。
1本5万円くらいするワインです。
このワインの1973年には、ピカソが依頼をうけてラベルを描くことになったそうです。
そして、その対価がワインだったようです。
なぜピカソは対価を現金ではなく、ワインを要求したのか。
それは、ワインの方が得だと理解していたからです。
なぜ得なのか。
それは、ワインの希少性と自分のブランド力を掛け合わせたからです。
ワインというのは毎年生産量が限られていますので、飲まれたらその分希少価値があがって値段がつり上がるわけです。
そこに自分のラベルが描かれれば、さらに希少価値が上がり、値段が上がる、と読んでいたのです。
たしかに、ピカソの描いたラベルのワイン、欲しがる人は大勢いると思います。
要は、その場でラベルのデザイン料を5万円で受け取るよりも、ワインで受け取った方が値段が上がり、あとでそれを売ればもっと高くなると踏んだのでしょう。
芸術家にしては、したたかですよね。
小切手で支払いしないので商品代どころか、そこに含まれている消費税も払っていないし、ワインで受け取れば収入にも上がらない、とやりたい放題です。
絵画も庶民には理解しがたい訳の分からない絵が多いですが、…ピカソってやばいですよね。
そりゃ出ていくお金が少ないわけだから、お金は貯まりますよね。
2022.10.01
円相場は一時1ドル=145円台まで円安が進み、政府日銀は加速する円安を食い止めるため、ついに為替介入を実施しました。
円安ドル高に歯止めがかかるのか、今後も注目しなければなりません。
これ以上物価高になれば、国民の生活が苦しくなるばかりか、物が売れず経済への打撃は計り知れません。
先日ある話を聞き、今ある商品を売るのに、違った見方をすると売れるヒントがあるんだなと思ったのでご紹介したいと思います。
ある人が、新幹線に乗っている時に乗り物酔いをしたという話です。
新幹線は外の空気を吸えないので、「もうアカン…」と白目をむいて、車両の間の連結部分で外の空気が吸えないかと外を眺めていたそうです。
「もう耐えられへん…」と思いながら、「新幹線酔い 解決方法」と検索すると、気になる検索ワードが出てきます。
「乗り物酔い 飲み物」
「乗り物酔い コーラ」
「乗り物酔い コーラ なぜ効く」
コーラがめっちゃ出てくる!!
気になって押してみると、「炭酸に含まれる成分が、自律神経を整えて胃腸の不快感を軽減するので、炭酸飲料は効果的」
「カフェインには感覚の乱れを抑制する作用があるので、炭酸水の中でも、炭酸とカフェイン両方摂取できるコーラがオススメ」と書かれているのです。
他の方法は新幹線では手に入らないので、「これだ!!」と思って、席に戻って車内販売を待ち、「炭酸は何かありますか?」と聞くと、「コーラが1本だけございます」と。
飲んでみると、一瞬で治ったそうです。
そんなすぐに治る?!という感じだったそうで、炭酸を飲むと確かにスッキリするとは思いますが、「乗り物酔いにはコーラ」って宣伝したら、もっと売れそうですね。
今までとは違う売り方でターゲット顧客を広げたい。
でも、どうしたらいいかわからない。。。という場合は、まったく違う視点で考えると、ヒントが隠されているかもしれません。
どんな人が購入しているのか、なぜ、うちの商品を購入しているのか、どんな理由で購入しているのか、どんな問題を解決するために購入しているのか、どんな欲求を叶えたくて購入しているのか、等々、どんなお客さんが、どういう理由で購入しているのか?というのを調べてみるといいかもしれません。
そうすると、売り手が思っている以外の使い方で購入していたり、予想外の理由で買っていたりするわけです。
コーラも、まさか乗り物酔いに良いとは、開発当時は誰も思ってもいなかったでしょう。
乗り物酔いをしそうな所、例えば電車のホームの自動販売機や、高速道路のサービスエリアなどで、「乗り物酔いにはコーラが効くって知ってましたか?」なんて文言があったら、もっと売れるんじゃないでしょうか。
売り手が予想外の使い方で購入しているのであれば、その方法をメインにして販売しても良いですし、その用途に商品を作り変えても良いですよね。
(ちなみに、コーラは清涼飲料水なので、効果効能は謳っていないとのことで、日本ではあまり知られていないようです。)
2022.09.01
私も来月で53歳になり、いよいよ小さい文字が読めなくなってきました。
スマホのネット記事は特にしんどいですね。
「本当に世の中の文字は小さすぎて読めない!でも、ハズキルーペをかけると、世界は変わる…」
というCMは皆さんご存じだと思います。
そんなハズキルーペを大ヒットに導いた、松村謙三社長。彼は、ハズキルーペを販売していくため、それまでにもテレビCMは大量に行っていました。
主に地方局を中心にCMを流していて、それなりに認知度も上がっているようでしたが、ちょうどその頃から、松村氏は広告代理店に対して「ある不満」を抱えていました。
そして、「これから全国区で、大々的にテレビCMを出そう」となった2018年、その「ある不満」が爆発する出来事が起きたのです。
前々から、ハリウッドスターである渡辺謙さんの大ファンだった松村氏は、いつか自分のテレビCMを撮ることがあれば、渡辺謙さんに出てもらおうと心に決めていたそうです。
そして、ちょうど全国区にCMを出すタイミングでオファーをすると、渡辺謙さんは快くCMの出演を引き受けてくれることになりました。
このCMが、ハズキルーペの命運を握っていると言っても過言ではありません。
CMの制作費は100億円。まさに、当たれば天国、コケれば地獄という一世一代の大勝負でした。
そんな大勝負の広告制作を任されたのは、大企業の広告をいくつも手掛けている大物の広告クリエイター。
初めての打ち合わせのとき、彼は自信たっぷりにこれまで手掛けた広告の数々をプレゼンし、今回のCMのイメージについて語っていたそうですが、松村氏は、どことなく「嫌な予感」がしていたと言います。
ひとまず、彼の実績を信じて、その彼に広告のイメージを伝え、1週間後にまた会う約束をしました。
そしてちょうど1週間後、やはり、松村氏の「嫌な予感」は的中したのです。
広告代理店の彼らから上がってきた案はどれも、風景の映像や、意味が分からないシーンばかり。
松村氏の意向は何1つ含まれていない自分勝手な制作物でした。「どういうつもりで作ったのか?」と聞いても、その彼は何も答えられない…
その瞬間、松村氏は、全てを理解したと言います。
「CMクリエイターは商品を売ることよりも、自分の”作品”を作ろうとして、見当違いな企画を持ってくることが多いんです。
“ミラノの駅から始まって…”とか“お殿様にハズキルーペを献上して…”とか(笑)。
商品を売るためにCMがあることを忘れている人が多すぎる。なぜCMを打つのか?商品を売るためにCMを打つんですよ」
あきれた松村氏は「もう、自分でやる!」と宣言し、ハズキルーペの魅力や素晴らしさが最大限に伝わるよう「風景」や「意味のない映像」を全てカットして、1つのCMが生まれました。
いきなり鬼の形相で怒る渡辺謙さんの、冒頭のセリフで始まります。
そのCMが放送されるや否や、ハズキルーペは一気に大ヒット。
その年のCMグランプリも「3冠」でタイトルを総なめし、広告業界は大きな衝撃を受けました。
商品の魅力を最大限に伝えて、商品を売ることが広告・CMで、だからこそイメージ戦略は、他の誰かに任せるのではなく、自分でやらないといけない仕事だということですね。
それにしても字が小さすぎて読めないのはつらいです。。。
2022.08.01
先月、日本を震撼させる事件がありました。
おそらく日本史だけでなく世界の政治史上にも残るでしょう。
戦前にさかのぼると、初代首相の伊藤博文が1909年、中国ハルピンの駅で民族主義運動家の朝鮮人に銃殺された話はあまりにも有名です。
1932年には、クーデタという特殊な状況下で、犬養毅首相が海軍将校らに暗殺された五・一五事件、戦後では、北朝鮮訪問の議員団長を務め、天皇訪中を中心になって進めた金丸信自民党副総裁が1992年に右翼活動家に銃撃された事件がありました。
世界に目を向けてみると、奴隷解放で知られるエイブラハム・リンカーン大統領が、1865年奴隷制廃止反対論者に銃殺、20世紀に入ってからでは、J.F.ケネディ大統領(1963)、マルコムX(1965)、キング牧師(1968)などが立て続けに暗殺されています。
これらの事件を振り返ってみると、暗殺の多くは、政治的なイデオロギーや価値観の違いが大きな原因となっていて、単純な殺人犯というよりは政治犯です。
しかし、今回は皆さんもご存じのとおり、政治犯とは動機が異なります。
なぜこのような蛮行が起きたのか、なぜ防げなかったのか、あまりに理不尽で釈然としない出来事に、ただただ無念さだけが残ります。
皆さんは、【ハインリッヒの法則】をご存じですか?
このコラムでも何度か取り上げましたが、この法則は、労働災害の分野でよく知られる事故の発生についての経験則です。
1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れているというものです。
自戒を込めてですが、仕事が忙しくなったり、会社の規模が大きくなったりすると、条件はそれぞれですが、集中しすぎたり、キャパオーバーだったりで、周りが見えなくなることがよくあります。
何もしなければ、何も起こらない。
だから精一杯チャレンジする。
確実にやり切れる内容や期日を約束する。
しかし、ふと一息つける余白を設けること、意欲ではなく確実にやり切れる内容や期日を約束すること。
一度決めたことをやり切ること。
そして、忙しい時だからこそメディテーション(瞑想)で心を整えることが大切で、忙しい時こそ、疎かになっていることはないか?と振り返ることが大切です。今、好調な時だからこそ、大切にすべきこと。
今、好調な時だからこそ、ふと一息つける余白を設ける。
今、不調な時だからこそ、まず一歩目を小さくても早く踏み出し、歩みを止めない。
どの状況もあり得ますし、意識しなければなりません。
経営は大事故が起こってからでは遅いのです。
安倍元首相の銃撃事件は、あまりにも根が深い問題のようですが、いくら平和ボケしているとはいえ、この国で起きたことには衝撃を受けました。
今までにもヒヤリハットした事象がたくさんあったはずですし、警備体制全般を見直すことになるのでしょう。
安倍元首相のご冥福を心よりお祈りします。
2022.07.01
「マッチ棒で作られた5つの正方形があります。このうちマッチ棒を2本だけ動かして、5つある正方形を4つにしてください。」
「ただし、ルールがあります…」
①もしわからなければ、両手を上げる降参のポーズで講師を呼べる
②講師は受講者の答えが正解なら拍手をし、違う場合には×と伝える
③制限時間は5分
人間って、自分だけでできることなんて限られています。得意なこともあれば不得意なこともあります。
さて、このルールでマッチ棒のクイズを始めると、だいたい1割ほどの人が自力で正解します。
それから降参して講師を呼ぶ人が1割。
そして、残りの8割は制限時間の5分を過ぎて…結局はタイムアップです。
つまり、正解する人も含めて9割は自分で何とかしようとする。
そして、ほとんどの人は制限時間にできない。
真面目な日本人にありがちですよね。
ところが、もしこれが仕事だったらどうでしょうか?
たとえば、あなたが部下や後輩に「お客様への提案書を3日で作って」と頼んだのに、3日という納期(制限時間)を過ぎてから「自分でやろうとしましたが、できませんでした…」と報告があったらどうしますか?
普通に考えて「期限が来る前に連絡してほしい」と思うでしょう。
仕事には納期が付きものです。与えられた期限でなるべく早く仕事を終わらせること。
それがプロの仕事であり、自分だけで何とかすることにこだわる必要はありません。
自分でわからなければ、Googleで調べるなり、上司に聴くなりして仕事を進めなければなりません。
自分の力だけでやろうとして、できるならそれでいいですが、できなければ他の人の力を借りればいいのです。
「なんとか自分でやりきる」というのは、たしかに努力する姿勢は認めてもらえるかもしれません。
しかし、先のようにお客様への提案書を作る目的は、上司に言われたからでも、自分が成長するためでもありません。
目的はお客さんに喜んでもらうことです。
得意なことは自分でやればいいですが、苦手なことは周りの人の力を借りて、お客様の期待に応えなければなりません。
もっと言えば、その期待を超えることを考える。
自分だけでなく他の人の力を借りてチーム戦で臨むことができれば、より大きな価値を生み出すことができるのではないでしょうか?
アフリカに、“早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け。”という諺があります。
優秀な人がどれだけ頑張っても、自分1人ですべてやっている限りは、ビジネスを大きくすることはできません。
個人のビジネスであれ、会社であれ、次のステージへ行くには、誰かと組んでビジネス展開したり、仕事のパートナーを見つけたり、人を雇ったりすることになります。
「人生は質問で出来ている。質問を間違えると、人生も間違えてしまう。」
一番やってはいけない質問は、「どうやったら儲かるか?」だそうです。
2022.06.01
なんで婚約指輪と結婚指輪って別なんでしょうか。
1つでよくないですか?…と、まぁいきなり全女性を敵に回すような話をします。
指輪が結婚で使われたのは古代ローマ時代と言われ、日本に広まったのは大正・明治時代からと言われています。
今や、ダイヤの指輪を贈るのが慣習になっていますが、なぜ結婚するときに「ダイヤを贈る」のでしょうか?いわば、買うのが当たり前になっています。
20万円、40万円、100万…これだけの金額を当たり前のように払うようになったのって、すごいと思いませんか?
実は、1940年代、ダイヤを売っていた会社は頭を悩ませていました。
ダイヤモンドは実用的ではなく、人々は必要なもの以外はあまり積極的に買おうとしません。
世界的に広めたいと思っていたものの、全ての国が同じ文化や言語を使うわけではなく、馴染みがない国もあります。
ダイヤモンドを広めるには、この壁を取り払う必要があったのです。
しかも、単価は安くできません。
このダイヤモンドを取り仕切っていたのは「デビアスダイヤモンド社」。
ダイヤモンドを売るために、色々な手段や方法を考えました。
そこで、彼らはあるマーケティング手法を取ります。
イメージ戦略です。
デビアスは、ダイヤモンドをより多く流通させるために、「非常に傷がつきにくい」というその特徴から、婚約指輪にピッタリの「永遠と愛の象徴」と世界中に宣伝しました。
『ダイヤモンドは永遠に』『究極の愛のメッセージ』というフレーズは、このマーケティングが行われた1940年代に生まれたのです。
誰しも、愛を伝えます。
それは万国共通です。
彼らはその愛にダイヤモンドを結びつけるマーケティングをしたことで、一気に広げることに成功したのです。
なんと、婚約指輪にダイヤモンドを選ぶ人は1970年代に16%だったのが、1980年には70%以上になったそうで、今もそれが文化や風習になっています。
このマーケティングは大成功したと言っていいでしょう。
それだけではありません。
余計なことに、デビアスはテレビCMで「婚約指輪は給料の3ヶ月分」というキャッチコピーを配信しました。
このCMは1970年代に放映されたものですが、50年が経った今でも、婚約指輪は給料の3ヶ月分というイメージは残っていますよね?
ちなみに、指輪の値段は為替の影響からアメリカでは「1ヶ月分」ヨーロッパでは「2ヶ月分」日本では「3ヶ月分」に置き換えられたそうです。
現在、日本でよく言われる「婚約指輪は給料3ヶ月分」というイメージは、きっちりデビアスの戦略の名残りなんです笑。
私が驚いたのは、ダイヤモンドという商品は、元から売れていたものではなかったということです。
そして、売れるようになったのは、マーケティングによるものだったということです。
中小企業の場合、予算に限りがあるので多額の広告費をかけることはできませんが、イメージ戦略に似た「ポジショニング戦略」で、競合商品の中から自社商品を選んでもらう必要があります。
ポジショニング戦略を効果的に取り入れることで「〇〇といえば〇〇」というように、業界内でも優位な立ち位置を得ることができます。
そうすることで、会社は大きく飛躍する可能性があるのです。
2022.05.01
2年間コロナで苦しい思いをしてきたのに、追い打ちをかけるようにロシアとウクライナの問題、米国の利上げなどによって、円安は加速し、日経平均も下がり続けています。ちょっと先が見えなくなってきました。
シンプルに考えると、日本経済が急に持ち直すことはないでしょう。
想像してみてください。あなたは素晴らしい耐久性を持った「防弾ガラス」を売っています。
その頑丈さをアピールしようと思った時、どのように売りますか?
・頑丈さの根拠をデータや数字で示す?
・過酷な実験の様子を写真とともに伝える?
・良さが伝わるユニークな商品名をつける?
先日、これに関して素晴らしい広告を見つけました。それが…こちら。
バス停に設置された防弾ガラスの中に、なんと本物の300万ドル(約3億円)が入っています!!
これは2015年に世界的メーカー3Mによって実際にカナダで企画された広告らしいのですが、どうやら「もし防弾ガラスを壊せたらそのまま3億円持って行って良いよ」という驚愕の広告だったそうです。
いくら世界的メーカーとはいえ、3億円はたいそうな金額ですよね。
商品に対する自信がなければ、こんなことはとてもじゃないけどできません。
実際、この広告が設置されたカナダでは、多くの人がこの防弾ガラスを壊そうと果敢にチャレンジしたそうですが、結局誰もこの3億円をゲットすることはできなかったそうです。
この広告を見た瞬間、「いやあ、その手があったか!」と思わず唸ってしまいましたが、頑丈さをアピールするなら、その根拠をデータや数字で示したり、過酷な実験の様子を写真を使って伝えたり、良さが伝わるユニークな商品名をつけたりするのが普通です。
それに引き換え3Mは、3億円を人質にしての実演展示、耐久性の素晴らしさが一瞬にして伝わるのは言うまでもありません。
私はこの広告を見て、ある1つの法則を思い出しました。それは、成功者達が口を揃えて重要視する「KISSの法則」。
「KISSの法則」とは、「Keep It Simple,Stupid」「シンプルにすりゃいいんだよ!バカ!」の略です。
この法則が示しているのは「とにかくシンプルであること」が重要だということです。
というのも、人間の脳は極力「疲れることを避ける」ように出来ているそうで、お客さんは考えること自体が苦痛で、すぐに疲れてしまうので、判断を先送りにしてしまうのです。
でも、先送りされてしまっては、どんなにいい商品でも購入に繋がることはありません。
特にネットの世界では、ランディングページ(=販売ページ)で先送りにされたら終わり。ユーザーは二度とページに戻ってきてはくれません。
だから、もしネットで商品を販売しているのならば、この3Mの広告のように一瞬で商品の素晴らしさが伝わる「シンプルなページ」であることが重要なのです。
ぜひ、「KISSの法則」を意識した広告や販売方法かを見直してみてはいかがでしょうか。
2022.04.01
コロナの感染者数の減少とともに、桜も開花してきました。自然と心も晴れやかになってくる季節です。
昨年は花見シーズンからコロナが再拡大しましたので、昨年の二の舞にならないようにしてほしいですね。
さて、あまりニュースになっていませんが、今年の4月1日から成人は18歳となります。わが子も早いもので今年20歳になり、来年成人式を迎えますが、18歳と19歳の人も同時に成人式を迎えるのでしょうか。
自治体によって様々なようですが、ややこしいですね。
さて、わが子のことは20年も前なので忘れてしまいましたが、赤ちゃんが物心つく頃、写真を指差して「パパ!」「ママぁ〜」と喋るようになります。写真に写っているパパやママがわかるようになったのか、でも、最初は自分のことは指差さないのです。
パパやママはわかるのに自分のことはわからんのかな?と不思議に思いますが、人は誰しも自分に1番興味があるものです。写真を見れば真っ先に自分を探すでしょう。
純粋無垢な1歳児ならば、パパママよりも自分を指差すものじゃないかなと思うのですが、もしかすると、意外と自分だとわかってないのかもしれません。
成長すると普通に毎朝鏡を見るようになりますが、赤ちゃんは鏡を見ませんし、時々見ても、それが自分だとわかっていないのかもしれません。
これが正しいかはさておき、自分のことが見えていないのは何も赤ちゃんだけではありません。
よく考えてみると、大人でも思い当たることがあります。
もちろん大人は「自分の顔」はよく知っています。
ところが「自分がどう見られているか?」という客観的な姿勢や振る舞いは、自分で認識できていないことも多いのです。
いわゆる「自分を客観視する」というヤツですね。
たとえば、自分では謙虚に振る舞っているつもりでも、人から見たら傲慢さが行動や態度、仕草などに滲み出ていたりすることがあります。
特に目に見えない態度や姿勢って、自分を客観的に認識するのが想像以上に難しいものですが、目に見える行動や仕草も同じです。
最近はzoomで会議をすることも多くなりましたが、zoomのよさは移動時間がないだけでなく「自分の喋り方を客観視できる」ということです。
実際にzoomの画面で見て初めて気付いたのですが、それまでは自分の口の動きなんて気にもしませんでした。
当然、改善もされないわけです。ところが、画面で自分の喋っている姿を見ると、なんか自信なさそうに喋ってるなとか、退屈そうに喋ってるなと感じることがあります。
とくに相手が口角を上げてハッキリ喋っていると、余計に自分が不機嫌そうに見えてしまいます。
ここまで認識してはじめて、今年は「口角を上げて過ごす」となるわけです笑。すると、次のzoom会議で少し意識するようになり、その繰り返される意識が行動の改善につながると思っています。
したがって、まずは自分を客観視することで問題に気付き、改善点を見つけること。
見つけたら、それを繰り返し意識すること。
これを積み重ねることで、人は少しずつ変わっていくものです。
会社も同じで、創業当初の赤ちゃんの頃は必死で成長しようとしますが、だんだん自社を客観視できなくなってきます。
元気な会社か、商品に自信を持っているか、同業他社から見てどうか、客観視すると意外な改善点が見えてくるものです。
新年度に向けて、自分も会社も一度客観視してみてはいかがですか。
2022.03.01
毎月、私のつぶやきのようなコラムにお付き合いいただきまして誠にありがとうございます。
おかげさまで今月200号を迎えました。
16年と8ヶ月…毎月毎月、〆切に追われていました。この記事もそうです。
〆切が近づいていて、今、急いで書いています!笑
〆切に追われるというのは、大変そうに思えるかもしれませんが、振り返ってみると、とても良かったんじゃないかと思っています。
理由は、アウトプット量が増えたからです。
「〆切があるからアウトプットが増える」というのは自明ですが、改めて実感しました。
無理はありましたが、なんとか毎月継続することができ、このコラムをもとにダイヤモンド社から出版することもできました。
それもすべて、〆切があったからだと思っています。
「漫画の神様」と言われている手塚治虫さん。
彼は、漫画家として信じられないほどの仕事量をこなしていました。
手塚さんの仕事場には、常に漫画の完成を待つ編集者がいて、手塚さんに「まだですか」「いつできますか?」「大丈夫ですか?」と、プレッシャーをかけます。
深夜にでき上がることも、徹夜で描き続けることもよくあったそうです。
おそらく、手塚治虫さんほど〆切に追われた人はいないんじゃないでしょうか。
かなりしんどそう…と思うかもしれませんが、手塚さんは、このことについて、こんな言葉を残しています。
「もし、編集者さんがいなかったら、私が描いた漫画の半分は、生まれていなかった」
〆切を催促してくれる編集者がいたからこそ、たくさんの作品を作れた。そう言っていたのです。
嘘か本当かわかりませんが、「人類最大の発明は〆切である」という言葉があるそうです。
なるほど、確かに〆切の無い仕事は仕事にあらずです。
〆切がなければ、結局その予定が遂行されることはほとんどないでしょう。
当事務所の本業である税務申告も、毎年必ずできるのは、間違いなく〆切があるからです。
申告期限がなかったら、おそらく申告をする人はいないでしょう。
だから、私は常々家事というのはしんどい仕事だなぁと思っています。
いつまでという〆切がなく、かといって放置すれば溜まる一方です。
自分を奮い立たせるしかないですからね。
そう考えると、仕事のアウトプットや成果を上げるためには、〆切を作ることです。
そして、できれば、1人で作らず、複数人で作ることです。
私の場合、コラムを書くのに、広報担当の女性スタッフが、「先生、今月号まだですかー?」「えっ?!あっそうやな!」という会話が生まれます。
この〆切には複数人が絡んでいて、遅れれば、毎月末に発送するメンバーが困ります。
「今月号HPにまだアップされてませんが…」と連絡してくるコアなファンもいます。
このように、1人で〆切を作るより、複数人に対して〆切を約束した方が、守る気持ちが強くなります。
したがって、どうすれば、他人を巻き込んで、〆切を作れるか?
何かグループを作って約束をしあうのも良し、仕事仲間、上司、友達や家族と作るのも良いでしょう。
〆切を利用すれば、間違いなくアウトプットを増やせます。
結果は、売上や集客といった成果に直結すると思います。
私もできる限りこのコラムを続けていきたいと思います。
2022.02.01
オミクロン株の感染力は凄まじく、あちこちで感染や濃厚接触者の話を聞くようになりました。
当事務所も、これから確定申告という繁忙期に差し掛かり戦々恐々としています。
さて、もうすぐバレンタインデーですが、バレンタインもオミクロン株の影響をもろに受けそうですね。
皆さんもよくご存じのお菓子メーカーのシャトレーゼ、昨年の売上高は900億円でした。
これは明治やブルボンなどの有名お菓子メーカーに匹敵する程の売上高です。
今では日本有数のお菓子メーカーの仲間入りを果たしたシャトレーゼですが、実は全く商品が売れない時期がありました。
もともと、シャトレーゼは売り場を持たないお菓子メーカーでした。
売り場を持っていないメーカーは、スーパーやコンビニに商品を卸して、そこで販売してもらいます。
つまり、販売店が商品を置いてくれなければ売上は一切立ちません。
販売店の言いなりになってしまうこともしばしばで、「品質を落としてでも値段を下げろ」と言われたら、それを飲むしかありません。
そんな状況にシャトレーゼは悔しい思いをしていました。
そこで、当時の社長である斎藤氏は、思い切った決断をします。
いったい何をしたかというと、卸しをやめて自社で販売することにしたのです。
工場の近くに直売所を作って、今までスーパーに卸していた価格でお客さんに直接売ることにしました。
すると、冷蔵ケースなんかいらないほど飛ぶように売れ、直売所の前は連日大行列でした。
この大ヒットをきっかけにシャトレーゼはどんどん売り上げを伸ばし、当初40億円だった売上げは約20倍になり、今でもその勢いは止まっていません。
コロナ禍にも関わらず、1年で200億以上も売り上げを伸ばしています。
この話が、私たちに教えてくれることは、「集客・販売を、他者に依存してはいけない」ということです。
どれだけいい商品を作っても、どれだけいいサービスを提供しても、自力で集客できなかったら、それをお客さんに届けることができません。
だからと言って、集客・販売を他者に依存するということは、相手の顔色を伺って営業にいかなければならず、無理な値下げをしなければならなくなったり、売上げが常に不安定という悩みが付きまといます。
逆に言えば、集客さえできれば、自立して、自社のやりたいようにできるのです。
ナイキがAmazonから撤退し、この他にも大手企業が次々と撤退しています。
楽天からは、ディズニーストア、ワークマンが撤退。
ZOZOからは、ユナイテッドアローズが撤退。
そして、撤退した企業は、共通して「自社メディア」での集客に力を入れ始めています。
この流れは年々加速してきており、これは大企業に限った話ではありません。
人が多く集まるAmazonや楽天で集客をするのは確かに便利だと思います。
しかし、集客を他のサイトに頼っているのは首根っこを捕まれているようなもので、勝手に値引きしようが、賃料が上げられようが、値引きキャンペーンを強要されようが、意味のない広告を売られようが、それを飲むしかありません。
そうしなければお客さんが来なくて事業がまわらないのですから…。
逆に言えば、集客さえできれば、自立して、自社のやりたいようにできます。
これからの時代は、「ネットでの集客」が肝になってきます。
2022.01.01
新年を迎え2022年がスタートしました。
昨年末からオミクロン株が広がりを見せていますが、もういい加減にしてほしい、今年こそは、と世界中の人が思っていることでしょう。
新型コロナウィルスは、たった一人の感染から世界中に広がりました。
よくよく考えてみると、感染も噂も口コミも、最初の一人目が必ずいます。
それで思ったのですが、ある商店街を歩いていると「あ~、ちょっとちょっと」と突然声をかけられます。
ん?と思って様子を伺っていると、再度同じ声がします。
「天神橋筋商店街1丁目から3丁目までは、10時から20時まで自転車に乗ったらあかんのですわ。すんませーん!協力してくださ~い」
そう、アナウンスです。
商店街のスピーカーから陽気なおじさんが自転車から降りるように呼びかけています。
ここに素晴らしいマーケティングが潜んでいます。
多くの人に伝えたい言葉を、たった1人に向けて呼びかけているのです。
この天神橋筋商店街は、大阪にある日本一長いアーケード商店街で、近年、自転車と歩行者との接触事故が多発していたそうです。
商店街のあちこちに「自転車は押して通行いただきますようご協力よろしくお願いします」という大型ポスターが貼られていました。
しかし、声は届かず、自転車で通行する人は後を経ちませんでした。
そんな中で誕生したのが、先ほど紹介した商店街のアナウンスです。
落語家が関西弁で必死に訴えています。
これを耳にすると、”あれ、私に言われてる?”と思わず足を止めてしまいます。
ガヤガヤ騒がしい商店街の中ではっきりと聞こえます。
横を通り抜けていった自転車の男性もその場で停止。
この男性もきっと「自分に言われている!」と思ったのでしょう。
なんと自転車から降りて押し始めたのです。
そして、その後のアナウンスにさらに驚かされます。
男性が自転車を押し始めた直後、「そうそう、自転車は押してってもらえると。ほんま、おーきに!」と流れるのです。
放送だと分かっているのに、どこか近くで見てる?と思うくらいの絶妙なタイミングです。
このアナウンス、何が一線を画していたかというと、「自分に言われている!」と強く感じさせることができていることです。
多くの人に届けたいなら、逆にターゲットをたった1人に絞る必要があるのです。
この話は道路マナーの話ですが、これはビジネスでも同じです。
いい商品や、いいサービスを持っていると、ついついターゲットを広げてしまいがちで、多くの人に届けたいと思えば思うほど、「皆さん」というメッセージになってしまいます。
しかし、それでは商品の良さは誰にも伝わりません。
遠くから「皆さ~ん!」って言われるのと、名前で「○○さ〜ん!」って言われるのと、どちらが注意をひくでしょうか。
売上を上げたいのにターゲットを絞るというのは非常に難しい判断です。
そんな時でも、まずは1人に絞る。
1つ目のメッセージが完成したら、次は2人目、3人目と順番に思い浮かべて、ターゲットの分だけメッセージを作ればいいのです。
「100人に響く1メッセージ」はありません。
今年は「1人に響くメッセージを100個」つくりましょう。
本年も、宜しくお願い致します。