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コラム『所長の眼鏡』|2023年

やはり出てきたインボイス問題

2023.12.01

インボイスは「百害あって一利なしの制度で、悪法も悪法なり」という人もいますが、始まってしまったものには対応せざるを得ません。

Yahoo!ニュースでも、————「まじで殺しにきてる」10月開始のインボイス制度、2500億円税収増にかかるコストは年4兆円「生産性激落ち」で批判殺到————なんて書かれていました。

ただし、インボイスに関しては「大口で悪質な事例に限定して税務調査を実施」「記載事項の不備をあげつらう税務調査はしない」と国税庁長官も発表しています。

まあ、それはそうでしょうね・・・。

ただ、だからと言って「じゃあ、適当でいいわ」とはならないのが経理の現場です。
金額が少額であっても、「どう処理すればいいか?」と考えてしまうのが、経理担当者であり、税理士でもあります。

という状況の下、想定外の色々な領収書が出てきて、早くも悩ましいことになっています。
10月以降に、あるお店が発行した領収書を例に挙げましょう。

〇飲食店での領収書(金額は手書き)
〇店名とインボイス番号はスタンプ
〇消費税率が10%である旨の記載なし
〇払った金額のうち、いくらが消費税額であるかの記載なし

やはり出てきたインボイス問題

おそらく、この店の店主は「インボイスに登録したので、インボイス番号を領収書に記載すればいい」と思ったのでしょう。
厳密に言えば、これはインボイスの要件を満たしていませんので、飲食したお客さんの会社の消費税の控除に問題が出てしまうのです。

さらに、このように不備があった場合、正しい領収書の再交付を受けなければならず、自分で追記や修正をしたらNGなのです。
発行側が間違っていれば、こちらで追記や修正するくらい認めてくれればいいのにと思いますが、これも法律、仕方がありません。
再交付を受けなければならないのです。

しかし、そんな手間がかかることを実際にするケースは稀でしょう。
結果、消費税の控除ができない…となるのです。

しかし、領収書にはインボイスの番号が記載されているのです。
本来は領収書をもらい直すのが正しい方法ですが、その方がコストが掛かります。
そうであれば、仮に軽微な不備があっても、消費税の控除をするというのも「1つの考え方」です。
もちろん、正しい方法ではありませんが、もらい直す手間、要件を満たした領収書と満たしていない領収書で経理処理を分ける手間を考えた場合、インボイス番号が書いてある訳ですから、要件を満たした領収書とみなすというのも「1つの考え方」となります。

何度も言いますが、法的に正しい方法ではありませんが、経理の現場は大変です。
でも、その都度うちの担当者に電話してこられても、どうすることもできません。
次行ったときに指摘してあげるぐらいでいいんじゃないですかね。
スタートして間もないですが、予想通り様々な問題点が出てきました。
今後も出てくると思いますので、ここで「1つの考え方」を示させて頂きました。
あくまでも「1つの考え方」です。


Netflixの凄い戦略

2023.11.01

今年は我が阪神タイガースが優勝し、明日からいよいよ日本シリーズです。皆さんのお手元に届く頃には何勝何敗になっているのか、、、今からソワソワしています。

さて、皆さんの家のテレビのリモコンに、Netflixのボタンはあります?
このボタン、僕はてっきりNetflixを使っている人が日本で増えてきたから、リモコンにつけられたんだと思っていました。
ところが、実際はNetflixが日本でスタートする前から、リモコンにNetflixのボタンが付いたテレビが発売されていたのです。
つまり、リモコンにNetflixのボタンが付いたのは、Netflixが意図的に仕掛けた戦略だったのです。

Netflixの凄い戦略

どういうことかというと、今でこそ、Netflixをテレビで観るのが普通になってきた感覚があるのですが、ひと昔前までは、Netflixはアプリなので、スマホやパソコンを使って観るものというイメージを持っていました。
電車に乗りながら、スマホで映画を観る、みたいな感じです。

ところが、Netflixは日本でサービスをスタートする前から、テレビのリモコンにNetflixのボタンをつけるために動いていました。
しかも、これがすごい方法で、「Netflixが1台ごとに10円、メーカーに支払う」というものです。

価格競争が激しく、コストを削減したいテレビメーカーにとってメリットのある提案ですし、テレビを観る人にとってもテレビの便利さを高めるものです。
リモコンの制作費は100円ほどみたいですが、リモコンにボタン1つ付ければ、コストの1割が返ってくるわけですから、メーカー側としては提案を断る理由がありません。

それに、Netflixが日本に参入した2015年、ネットに対応しているテレビの出荷台数は250万台ほどで、そうなると、250万台すべてを合計しても2500万円。
Netflixの年間マーケティング費用が600億円ほどなので、0.042%のコストで、テレビのリモコンにNetflixのボタンをつけることに成功したわけです。

テレビのリモコンにNetflixのボタンをつけることができれば、スマホやパソコンを使いこなす若い層ではなく、少し上の層にもアプローチできますし、さらに、有料動画配信サービスで視聴するユーザーが50%を超えるぐらいに増加しているそうですが、テレビで観る人が増えれば増えるほど、他の動画配信サービスに差をつけられる大きな要因になります。
テレビのリモコンにボタンがあるぐらいですから、信頼しますしね。考えれば考えるほど、凄さが伝わってくる話です。
これを考えて、実行した人は天才ですね。

Netflixが日本のテレビに対してかけたコストは年間2500万円。
一見、高いように思いますが、これは、個人で一軒家を買うよりも安い金額でしょう。
そんな個人でも出せるようなコストしかかけずに、これだけのことができてしまうのは、やっぱり素晴らしいアイデアだったからです。

こういう素晴らしいアイデアの話を聞くと、刺激を受けますよね。広告でも、アイデアの良し悪しで売上に10倍、20倍の差が生まれるなんてことはザラにあるようですし、世界有数の企業であるNetflixとは勝負できませんが、お金ではなく、アイデアで勝負するのは、これからの時代、ますます重要になってくると思います。


ミスタードーナツのV字回復

2023.10.01

先日友人と4人で飲んだあと、2軒目に行く道すがら、結構酔っていたのか、ふらっとミスタードーナツに入って、一人2個ずつ買ってしまいました。
僕が買っている間、怪訝な顔で待っていたおじさん3人の分も買ってあげましたが、普段甘いものなどまったく興味のないおじさん達も2個ペロリでした。
そんな僕も大好きなミスドが業績好調で、ダスキンが発表した2023年3月期の決算では、売上が前期比11%増、営業利益が前期比51%増と、かなり好調のようです。
ミスドで何を買うかでトークが盛り上がりますよね。

ミスタードーナツのV字回復

ところが、そんなミスドも一昔前は営業赤字だったことがあります。店舗も閉店して、一時はこのままダメになるんじゃないかと言われた時期があります。
そこから見事に復活したのですが、そもそもなぜミスドは赤字に陥ったのでしょうか?

2010年くらいまでは順調に売上を伸ばしていたものの、少しずつ売上が鈍化し、利益も減ってきて、2015年には営業利益が赤字になっています。
それには理由があって、それは「100円セール」です。
昔、ミスドにはある時期行列ができていました。
ドーナツがどれでも100円というセールを実施して、普段は150円くらいするドーナツも100円で買えたのです。

このセールの時には、たくさんのお客さんが集まってドーナツを買っていく。
しかし、セールの期間は売上があがるものの、やっていない時はお客さんが来ない…なんてことになっていたんです。
となると、店舗の運営も大変で、100円セールの時にはスタッフが大量に必要で、たくさんドーナツを作る。
しかも普段より安売りしているので、利益は少ない。逆に、それ以外の日はお客さんが来ないので、人件費だけがかかり、利益は赤字。

100円セールは麻薬みたいなもので、やればお客さんは来るけど、やらない時期はお客さんが来ない、、、
簡単なことですが、そんな悪循環に陥っていました。
お客さんも「ミスドと言えば100円」みたいな感じで、100円の時に買うものという風に思っていたので、それ以外の時に買うと、逆に損をした感じになってしまいます。
しかも、行列に並ぶのが嫌な人は、並んでたら買わずに帰ってしまいます。

この100円セールをやめたのが2016年。
やめてから売上は下がったものの、利益は回復し、今では営業利益を大きく伸ばすことに成功しています。
結局は売り方が大事だということです。
安売りをメインにすると、安い買い物目当ての人が来るわけです。
ネットの掲示板で「お客さんの質が悪い」というコメントを見ることがありますが、「セールスレターは顧客の鏡」という言葉があるように、それは、その会社が質の悪いお客さんが集まる方法で集めているからです。

ミスドも、売り方を100円セールから、コラボや高級路線のドーナツを売るなど、売り方を変えることによって業績が回復しました。
今はミスドに行っても行列を見ることはあまりないですが、いつ行ってもそれなりにお客さんがいて、値上げもしたけど、お客さんは来ている。
売り方1つで、顧客の数も、顧客の質も大きく変わるということです。


528億円 高級アイスの販売戦略

2023.09.01

暑い日が続きますが、こうも暑いとアイスが食べたくなります。
「高級アイス」と言えばハーゲンダッツを思い浮かべる人も多いかと思いますが、2021年12月には、528億円という過去最高の売上を叩き出しました。
そんなハーゲンダッツですが、最初から経営がうまくいっていたわけではありません。

ハーゲンダッツが販売される、30年ほど前、創設者のルーベン氏は、母と共に叔父の経営するアイス会社で働いていました。
そして数年後、貯めた資金で独立し、母がオーナーとなって、セネター・フローズン・プロダクトというアイス会社を設立。
その後20年にわたって家業を大きくしていきました。

528億円 高級アイスの販売戦略

ところが、消費者がスーパーマーケットを利用するようになり、アイスの棚は大手の「安くて高品質」なアイスに独占されていきます。
セネターが作るアイスでは、価格も品質も大手に太刀打ちできないと悟ったルーベン氏は、乳脂肪の多い、超高品質のアイスクリームを作ることを提案。
これが、お馴染みのハーゲンダッツの始まりです。
ルーベン氏は大手に負けないブランドを作るために、「スーパープレミアム・アイスクリーム」という新たなニッチ市場を生み出しました。
原材料にこだわり抜き、チョコレートはベルギー産、コーヒーはコロンビア産を使用していました。
ただしその分、値も張っていました。
当時は1つ50円が相場でしたが、ハーゲンダッツは1つ75円。1.5倍だったのです。

それにも関わらず、発売から約10年後には、全米に販路を拡大。その数年後には、ショップ1号店を出店し、直営店は7年間で50カ国900店舗にまで拡大していったのです。

一体なぜこんなに売れたのでしょうか?
原材料にこだわっているので、もちろん味は美味しいのですが、買うときには味は分からないですよね。
むしろ、1.5倍高いと少し躊躇してしまうかもしれません。

それは、ネーミングの力です。ルーベン氏は高級感を出すために名前にこだわりました。
娘さんによると、当時、夜遅くにキッチンのテーブルで、色々な名前を声に出して、響きを探っていたそうです。
そして完成したのが「Häagen-Dazs」。
高品質なミルクをイメージさせる北欧の都市“コペンハーゲン“と、それに響きのあう“ダッツ“という言葉(意味はありません)を組み合わせました。
完全な造語ですが、伝統的な、外国風のイメージを醸し出しました。

例えば、フランスのパイ菓子で「ガレット・デ・ロワ」というのがあるのですが、なんだか高級でおしゃれなイメージを想像しませんか?
同じように、アメリカの消費者にとっても、ハーゲンダッツは外国っぽくて、なんだか高級感のあるオシャレなネーミングだったのです。
ルーベン氏は、Häagen-Dazsという名前で、アメリカの消費者に高級アイスというポジショニングを植え付けました。そのため、1.5倍の価格であっても売れたというわけです。

実は、外国風のネーミングにする、という発想の効果は研究でも立証されています。
それによると、消費者の約4分の1が、製品の原産国情報に基づいて購入を決めているそうです。
つまり、ネーミングで連想されるものによって、商品のイメージもガラリと変わるということです。
適当に決めてはいけませんね。暑いのでハーゲンダッツを食べながら考えると、ネーミングのヒントがもらえるかもしれませんね。


1000人のおっぱいを吸った男

2023.08.01

「顧客リサーチは大事」わかりきったことです。
表題だけ読むと、どういうこと??と思うかもしれませんが、創業者ってすごいな、とあらためて衝撃を受けました。

昭和29年、戦時中シベリアに抑留されるも、生きて日本に帰った仲田祐一氏は、「日本の将来にいちばん大事なものは赤ちゃんだ」と考え、哺乳瓶など、いちばん命にかかわる部分の仕事をしようと創業。
そこでできたのが、赤ちゃん用品の会社ピジョンの前身となるピジョン哺乳器本舗です。

1000人のおっぱいを吸った男

ある日、薬局からなにやら数を数える声が…。
返品と書かれた段ボール箱の中に投げ込まれてゆく哺乳瓶たち。
「やっぱり赤ちゃんは、お母さんのおっぱいで育てるのが一番でしょ」薬局の店主の言うことは確かに当たっていました。
当時の哺乳瓶は開発が遅れ、品質も粗悪なゴム素材。まだまだ母乳で育てるのが一般的な時代だったのです。

「何とか赤ちゃんの気持ちになって、哺乳瓶が作れないものか…」仲田氏は考えますが、とはいえ、顧客リサーチ(赤ちゃんに感想を聞くなど)はできません。
そのとき彼が思いついたのは、赤ちゃんの気持ちに近づくには、自分も赤ちゃんの気持ちになって本物のおっぱいを吸ってみるしかない」ということでした。
(普通そうなりますかね???)
彼は道行く女性に声をかけ始めました。
「すみません、あなたのおっぱいを吸わせてもらいませんか?」
(もう変質者です。)しかし、そう簡単にいきません。(当たり前です。今だと捕まります。)

断られ続けた仲田氏は、仕方なく断念し、気分転換に飲み屋へ出かけていきました。
隣に座ったホステス・英子としばらくやりとりをするうち、彼女には生まれて間もない赤ちゃんがいることが判明しました。
しかも、哺乳瓶を使っているが、うまく飲んでくれなくて困っているというのです。

「あなたおっぱいを吸わせていただけませんか?」・・・一瞬の沈黙。

思い切ってうちあける彼に、英子は戸惑いながらも、承諾してくれたのです。
こうして仲田氏の実地研究、「おっぱい行脚」が始まりました。
彼は出産経験のある水商売の女性に声をかけ、研究を続けること6年。
何とその対象者は1000人近くにも上っていたそうです。

たとえ社員に白い目で見られようと、ひたすらおっぱい行脚を続け、新しい乳首の開発に情熱を燃やした仲田氏。
今では科学的に解明されていますが、当時はまだ知られていなかった、赤ちゃんのミルクを飲む時の舌の動き蠕動様運動にも注目し、開発のヒントにしたそうです。
そして、ついに新素材イソプレインを使った、極めて本物に近い質感の乳首を開発することに成功したのです。
その結果、日本赤十字病院の医師が、新しく開発した哺乳瓶を公認してくれ、その他多くの病院にも認められるようになったのです。

こんにちは赤ちゃんの大ヒットを受けて始まったベビーブームの中、ピジョンは国内の哺乳瓶シェア80%を占めるほどの企業へと成長し、現在もそのシェアを誇っています。

自分はやった気になっていないか、「とことんやる」この凄まじい行動力には驚かされました。


屋根を修理するなら、よく晴れた日に限る

2023.07.01

「屋根を修理するなら、よく晴れた日に限る」これは米国第35代大統領ジョン・F・ケネディの言葉です。

誰もが納得できる考え方だと思いますが、自分の家が雨もりしていることが分かっていても、晴れてるときには、なかなか修理をしようという気持ちになれませんよね。
よく台風のときに、雨漏りを直そうと屋根にあがって、落ちて怪我をしたというニュースが流れますが、まさにそれです。

私たち人間は、調子がいいときは、なかなかいつもと違う行動をとることができません。
そして何かが起きたときにはじめて重い腰をあげるのです。これはビジネスでも同じではないでしょうか?
ピンチの状況に対して、普段からの備えがあるか、先手をうっているかで、結果として業績に差が出てしまいます。

ある起業家が、13万円の資金で会社を立ち上げ、初年度、彼は3900万円の収益を上げました。
そして、20年後、585億円の売上をあげる業界リーダーになった会社があります。
なぜそんなことができたのか?
彼は、「景気がいいときも悪いときも、毎年必ず3つのことを実行した」と言います。
①毎年必ず、扱っている各商品やサービスで、新しい市場に少なくとも1つは参入した。
②毎年必ず、既存顧客むけに少なくとも1つの新しい商品やサービスを発表した。
③毎年必ず、少なくとも1つの新しいビジネスを獲得した。(事業を買収)
これが、彼に桁外れの成長をもたらしたのです。
起業家は受け身ではいけません。

ですが、多くの起業家は、少しうまくいくと現状維持を始めます。
昨日と同じことを繰り返してしまうのです。
とくに、自分で何でもやってしまう人に陥りがちな結果です。

アメリカの鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーの墓碑に「己より優れた者の力を借りし者、ここに眠る」と刻まれています。

屋根を修理するなら、よく晴れた日に限る

「人間は、優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも、他人の助けを借りるほうが良いものだと悟ったとき、偉大なる成長を遂げる」ということです。

カーネギーほどの立派な経営者でも、1人の力だけで成功したわけではなく、周りのたくさんの人々から助けを得ていたということが分かります。
「早く行きたければ1人で行け。遠くへ行きたければ皆で行け」
そんな言葉もあるように、何かを決めるときに、1人だと早く決めることができますが、その分間違える可能性は高くなります。
自分だけでは分からないことは、世の中にごまんとあるわけです。
自分は何でも分かっている、知っていると思っている人ほど、自惚れが強い人ほど間違える可能性も高くなります。
そういう人に限って、人の意見を聞かず、現場にも出ず、机上の情報だけで物事を判断したりしてしまいがちです。
大きな事業を成し遂げるために人の力を借りることは、リーダーとしての経験がある人は肌で感じているのではないでしょうか。

 また、「小才は、縁に出合って縁に気づかず、中才は、縁に気づいて縁を生かさず、大才は、袖すり合った縁をも生かす」
江戸時代、剣術などで名を馳せた柳生家家訓には、このような言葉があるんだそうです。
言い換えれば、本当に才ある人は、ちょっとしたきっかけのご縁であっても、それを活かすことができるということです。
ちょっとした縁を活かすことができる人もいれば、そうでない人もいますよね。
まだまだ、僕は小才のレベルに近いですが、人の縁って本当に大事だと改めて気づかされました。


駅構内の時計

2023.06.01

先月は、日本が議長国となるG7広島サミットが開かれました。
ゼレンスキー大統領のサプライズ来日が話題になりましたが、世界で起きていることと、自分の身の周りで起きていることのギャップに整理が追いつきませんね。

さて、AIの進化が止まりません。
AI加工で写真の画像なんて簡単に作れますし、とうとう声まで変えれるようになりました。
プーチン大統領やトランプ前大統領が逮捕されている画像が出回ったり、自分の声を岸田総理の声にしたり、何でもありになってきました。
これから何を信じればいいんでしょうか。

そんな急速に遷り変わる世の中で、ひっそりと姿を消していくものがあります。
JR東日本は、駅構内に設置している時計の撤去を進めています。
2022年1月時点で撤去したのは、22駅(山梨県20駅、神奈川県2駅)、今後10年程度をかけて、管内の3割にあたる約500駅の時計の撤去を進める計画だそうです。
普段は気にも留めないものですが、鉄道を維持するために、設備投資や劣化設備の取り換えにかける費用の抑制、ランニングコストなどの固定費の削減を一層、進める必要があるようです。
また、労働生産人口が今後20年間で1200万人減少するなかで、メンテナンスに係る人手の確保も課題で、設備のダウンサイジングや低稼働設備の見直しを、より積極的に進めているということです。

その一つが「駅構内の時計」です。

駅構内の時計

JR東日本は、列車の発着時刻を知らせる補助設備として、駅構内の必要な場所に時計を設置していましたが、
「携帯電話やスマホなどの普及によって、多くの利用客が自分で時間を確認する手段を持っていること」
「保守メンテナンスの軽減」などを総合的に勘案して、老朽化による取り替えや更新時期を迎えた時計については、一部の駅構内で時計の設置の見直しを行うことにしたそうです。
駅構内に設置されている時計は、自動で時刻を整正することができ、駅構内の地下など電波状況の悪い場所でも、同一時刻となるように通信ケーブルを配線しています。
時計や通信ケーブルは、定期的な取り替えや故障修理が必要ですし、一定のコストがかかってしまいます。
そのため、約500駅に設置されている時計を撤去すると、年間約3億円程度の削減効果があるそうです。

「駅で時間が確認できず、不便である」という利用者からの意見もあるそうですが、僕から言わせれば、携帯電話やスマホの普及以前に、「時計持ってないの?」と思ってしまいます。
そもそも時計がないと、目的の電車に間に合うかどうかわからないと思うのですが、それはさておき、時代の流れやライフスタイルの変化にあわせ、駅構内の時計の在り方が変わりつつあるということです。

何かを変えるとき、必ず反対意見は出るものです。
そういうときに私が教訓として心に留めているのは、今から32年前、日本のサッカーをプロ化するときの川淵チェアマンの言葉で、
「時期尚早という人は100年たっても時期尚早と言う、前例がないという人は200年たっても前例がないと言う」
という有名なスピーチです。
その後Jリーグが発足したことは皆さんご存じだと思いますが、始めるのも止めるのも、英断が必要ですね。


商品のこだわり、伝えていますか?

2023.05.01

税務調査で調査官に営業するかのごとく、話し出す社長がいます。
聞かれたことに「だけ」答える。
この真意を、トップ営業マンである社長が理解することは非常に難しいことのようです。

例えば、調査官「この商品は海外から買っているのですか?」社長「はい」YesかNoで答えられる質問なので、ここまででOKです。
しかし、多くの社長は「はい」に続けて、「なぜ、海外から買っているのかというと~」と、聞かれてもないのに、説明し始めます。。。
聞かれたら、答えればいいのです。笑

ところが、すごく良い商品なのに、思うように売れていない…こういう話をよく聞きます。
でも、話を聞けば聞くほど、その商品の良さが伝わってきます。
その商品の良さやこだわりが伝われば、絶対売れるはずなのに、現実はなかなか売れません。
もしかしたら、皆さんも同じような悩みを感じたことがあるかもしれません。

良い商品、こだわりのある商品を持っているにも関わらず、業績不振だったビール会社があります。
1920年代アメリカ、そのビール会社は当時業界8位と、業績は今ひとつ伸び悩んでいました。
「なんとか売上を伸ばしたい」そう考えたそのビール会社の社長は、ある1人のとても優秀なマーケターを雇うことにしました。

そのマーケターが来た初日、早速、ビールの醸造所を案内することにしました。
醸造所では、普段どのようにビールを作っているか、事細かにそのマーケターに説明しました。
ビールに使う水は、深さ約1500メートルの井戸からミネラルを豊富に含んだ水しか使わず、最高の酵母菌を見つけるために5年以上かけて1,623回の実験を重ね、水に含まれる不純物を取り除くため、高温で蒸発させすぐに冷却して水に戻す、これを3回以上繰り返し、ビール瓶には超高温の蒸気を当てて、瓶に付着している微細な菌を殺菌している。

商品のこだわり、伝えていますか?

そのマーケターは圧倒されたと言います。
ここまでして、美味しいビールを作るために努力しているのかと。
そして、そのビール会社の社長に「なぜ、こんなこだわりを、お客さんに伝えないのですか?」と聞くと、その社長はこう答えたのです。
「いえ、これはどの醸造所でも同じようにやっていて、当たり前のことですから…」と。

このビール会社の社長がハマった落とし穴、それは、売り手は知りすぎているということです。
売り手は毎日、商品やサービスのことを考えています。
そうすると、商品やサービスのことに詳しくなりすぎるあまり、自分が当たり前だと思っていることは、他の人にとっても当たり前のことだと錯覚するようになってしまうのです。
でも、お客さんは、その商品・サービスのことはほとんど何も知りません。
商品やサービスについては、ど素人です。
この『知識差』に気づけるかどうかが、とても大きなポイントです。

それから6ヶ月後。業界8位だったそのビール会社は、業界No.1になっていました。
業界では当たり前のことでも、こだわりは、しっかりとお客さんに伝えていかないといけませんね。


考えない社員が減った!松下幸之助のどつきの質問とは?

2023.04.01

今月から屋内でもマスクは着けなくてよくなり、長く続いたコロナ禍も終わりを迎えようとしています。
公共交通機関や病院などの施設でマスクを着けるケースは残るでしょうが、少しずつ街にも活気が戻ってくるのではないでしょうか。
さて、いよいよ新年度がスタートしますが、皆さんの会社では、指示したとおりに社員が行動しなかったり、依頼したはずのタスクが期限までにあがってこなかったり、または、想定したクオリティのものが全く出てこないというケースはありませんか?

実は、この問題。
社員への指示にある工夫をするだけで大きく改善します。
社員が言ったとおりに動いてくれる指示の出し方、それは「曖昧を取り払うこと」です。

例えば、「すぐにここへ電話をかけて」と部下へ指示した場合、部下が行うのは何分後でしょうか?
【A】今すぐ 【B】5分以内 【C】1時間以内 【D】目の前の仕事が片付いてから正解は、すべてです。
なぜなら人によって、「すぐ」の捉え方が違うからです。指示する側と指示される側の認識が違った時に、「部下が思ったように動かない」という悲劇が始まります。
それを防ぐには曖昧さを避け、指示を具体的にする必要があります。
「5分以内にここへ電話をかけて」と指示をしていたら、5分以内に電話をかけてくれたでしょう。

つまり、部下を動かすためには、誰でも同じ認識ができるように具体的な指示をすればいいのです。
しかし注意点もあり、それは、「社員の自分で考える力が失われていく」という点です。
社員が少ないうちは細やかな指示を出せるかもしれません。
しかし、社員が10名、30名と増えれば増えるほど、社長の負担も増えていきます。

「どうしたらいいですか?」とすぐに質問して、その通りにしか動かなかったり、教えてもらってないことを不満に思ったり、少し調べればわかることを調べないということは往々にしてあります。
わからないことを質問する姿勢は決して間違いとは言えません。
しかし、指示待ち社員が増えてしまうと、経営者や管理職の負担が激増し、本来の業務が出来ないということもあるでしょう。

では、どうすれば社員が自分で考え、成果を出してくれるようになるのでしょうか。
経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏は、部下から相談が来ると、「どつき」の質問を繰り返したそうです。
「どうして」「どのように」「どれを」など、頭に「ど」がつく質問を返して、対応策を部下などに考えさせるよう働きかけたのです。

考えない社員が減った!松下幸之助のどつきの質問とは?

松下幸之助氏は部下の相談が終わると、「君ならどうするんや」と逆に質問をし、すぐに指示・命令することをしませんでした。
相談するたびに、「君ならどうするんや?」「君はどう思うんや?」と質問を返されるので、松下電器の社内では、相談・報告をする前に、必ず自分なりの考え方や解決策をまとめなければいけないという、暗黙のルールができあがったそうです。
社員も成長したいと心の中では思っているはずです。
自分のアタマで考える部下を育てることは、経営者にとって大切な仕事です。


記憶に残る幕の内弁当はない

2023.03.01

2020年、新型コロナの影響で多くの企業が危機に立たされましたが、それを救ったのが「ゼロゼロ融資」でした。
しかし、3年間の利子免除の期限を目前に、多くの企業が返済に追われています。
借入を返済し、事業を続けるためには、売上をあげる他に手はありません。
この政策に対して「いずれ倒産する企業を延命させただけ」と批判する方もいますが、
コロナ禍に苦しんで融資を受けた企業も、ビジネスのチャンスさえつかむことができれば、一気に経営を好転させることができます。

例えば、たった1つのアイデアがビジネスを変えることがあります。
今までまったく売れなかったのに、たった1つの広告がヒットすることで、日本中で爆発的に売れたり、
たった1つの商品がロングセラーとなって商品名=社名に変えた会社もあります。
Googleの創業者ラリー・ペイジは「アイデアには価値がない。実行することが大事だ」と言いましたが、
中小企業の経営資源には限界があるので、すべてのアイデアを実践することは不可能です。
だからこそ、価値あるアイデアに絞って実行する必要があるのです。

では、どのようにアイデアを絞っていけばいいのか?
ヒットを生み出すための成功の秘訣とは何でしょうか?

・・・名作詞家でもあり、名プロデューサーとしても知られ、天才ヒットメーカーとも名高い秋元康氏。
彼は、ヒット作を生み出し続けられる理由について、『記憶に残る幕の内弁当はない』と言っています。

記憶に残る幕の内弁当はない

「今までで一番おいしかった幕の内弁当って思い出せますか?」
単品で尖った企画はリスクがあります。実行するのは勇気がいるけど、当たったらぶっちぎりになれる。
でも、みんなそのリスクを恐れてあれもこれも・・・と追加し、だんだん”幕の内弁当”になっていくということです。
「記憶に残る幕の内弁当はない。人がエッと驚くような単品主義にしないとダメ。一点突破にしないと」

これは経営にも当てはまります。
多くの競合他社も実践している“幕の内弁当”よりも、一つの驚くような訴求に特化するほうが、お客さまの目を確実に引きます。
その集客効率や受注率は段違いです。

Apple創業者スティーブジョブズは、
「美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?
そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。
その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ。」
相手がバラ10本で、自分が15本なら、自分の目線から見れば相手より優位に立てたと思うかもしれません。
しかし、その女性はそもそもバラを求めているのでしょうか?
この例で考えると、その考え方のズレがよくわかります。

他社より15%安い、他社より軽い、他社より量が多い、他社より~などなど、ついつい他社との比較で優位性を作ろうとしてしまいがちです。
確かに、競合やライバルの分析は、相手が何をしているかを知る上で必要です。
しかしそれよりも、顧客が何を望んでいるかを見極め、顧客を魅了する独自の価値を創出することが重要です。


ウサギとカメの本当の話

2023.02.01

早いもので、今年もすでに1ヶ月が過ぎました。今年は兎年ということですが、皆さん、ウサギとカメの童話はご存じですよね。
では、なぜウサギはカメに負けたのか、どうしてカメはウサギに勝つことができたのか、知っていますか?

子どもの頃から、あまりにも有名な童話ですが、ウサギは油断して昼寝をしてしまって、カメはコツコツと歩みを進めて、ウサギを追い抜いてしまったという話です。

ウサギとカメの本当の話

では、ウサギの最大の敗因は何だかわかりますか?ウサギが負けた本当の理由とは?

簡単に言えば、ウサギとカメは「見ているところが違った」ということです。

ウサギは何を見ていたのか。ウサギは、カメを見ていました。だから、ノロノロとやってこないカメに、油断をしてしまったのです。

対するカメは何を見ていたか。ゴールを見ていたのです。カメがウサギを見ていたら、もしかしたら昼寝をしているウサギを見て、自分も休んでしまったかもしれません。
ところが、カメはそうしなかった。それはゴールを見ていたからです。

何が言いたいかというと、ゴールは何かをしっかりと見極め、競争相手に惑わされないということです。
レースの本質をしっかり捉えよ、ということです。カメはゴールを見ていたから、歩みは遅かったけれど、足の速いウサギに勝てた。
「見ているところが違った」から、この結果が生まれたのです。

ハッとさせられる話です。これは仕事にも言えることです。商品開発、受注競争、……。
「見ているところ」は正しいか、ということです。
ゴールを見ずに、隣ばかり周囲ばかりを見てしまうと、カメに負けたウサギ同様、残念な結果になる可能性があるのです。
そして、もっと大事なことがあります。それは、ゴールは果たしてちゃんとあるのか、ということです。

ゴールが定められていないのに、いったい、どこに向かおうとしているのか。もし、ゴールがないとすれば、カメを見ているウサギになりかねないということです。
隣ばかりが気になっていて、ゴールが見えていない。
これでは経営は行き詰ってしまいます。

子どもの頃に学んだ『ウサギとカメ』の教訓のひとつは、コツコツと一歩一歩、だったはずです。
でも、ゴールがなかったとしたら、コツコツどこに行くのか。
ましてや、今の時代、ゴールを目指して休まないウサギたちがゴロゴロいますよね。
一流の人たちは、「これは当たり前」「これこれはこういうもの」「これはこうでなければならない」といった世の中に溢れている常識は、いかに裏付けのない、いい加減なものかということを知っていて、実際、彼らはそんなものを信じていません。

では、そうした常識は、多くの人々にどこで刷り込まれてしまったのか。
もしかするとそのひとつは、子どもの頃から繰り返し聞かされてきた童話なのかもしれません。
「ウサギとカメ」も、そのひとつなのかもしれません。
変革の時代を勝ち抜いていくには、明確なゴールを定め、そこに向かって周りに惑わされないように進んでいかなくてはなりません。


2030年あなたは何をしていますか

2023.01.01

2023年がスタートしました。昨年はオミクロン株が猛威を振るい、ロシアがウクライナを侵攻し、円安が1ドル150円を突破するなど、予測不能のニュースの連続でした。
一番の衝撃は、何と言っても安倍元首相の銃撃事件で、その後の旧統一教会問題は底なしの様相で、世の中には知らないことが多すぎると思い知らされました。

そんな中でも、メジャーの大谷翔平の活躍や、サッカーW杯のニュースは勇気と感動を与えてくれました。
今年は3月に野球のWBC、8月に世界陸上、9月にラグビーのW杯があり、盛り上がりを期待したいです。

さて、これから7年後の2030年、あなたは何をしていますか?世界はグローバル化し、テクノロジーも急進展しています。
この頃には、「空飛ぶ自動車」も普及すると言われています。
例えば、ドイツのVolocopter社では7人乗りのエアタクシーを開発中で、ニューヨークを拠点とするKelekona社では、一度に40人が乗れる宇宙船のような空飛ぶ自動車のコンセプトが発表され、実現すれば、ロサンゼルスからサンフランシスコ間の約530kmを1時間で移動できるそうです。

ドバイでも、世界初の3Dプリンターで作るオフィスをたった17日間で建設し、2025年までにドバイ政府は、建築物の25%を3Dプリント技術を使って建てると発表しています。
まるでアニメやSFの世界のようですよね?

AI技術もすさまじく、AIはすでに文章も書けるようになっています。
例えば、AIツールの検索ボックスに「AIによってライターの仕事はなくなる」と短文で入力するだけで出来上がったのが次の文章です。

AIはライターの仕事をなくす。このことに疑いの余地はない。
人工知能プログラムは日々、より速く、より正確に成長しており、文章を作成するその能力は、多くの組織や企業にとって急速に好ましい選択肢となりつつあります。
AIは人間のライターよりも速く、費用対効果も高く、信じられないほどのスピードでデータを正確に捉え、解釈することができるのです。
この技術の進歩は、ライティングの仕事を人間から奪い、機械に委ねています。

ライターはSEO、ソーシャルメディア、コピーライティングなど特定の分野に特化することができますが、AIはより幅広い業務をこなすことができます。
テクノロジーの進化に伴い、ますます多くの人間のライティングの仕事が人工知能に奪われ、ライターがこの業界で働き続けることはますます難しくなっています。
今後、ライターとして活躍できるのは、高いスキルと経験を持つ、熱心なライターに限られるでしょう。

いかがですか?普通に文章が上手い人が時間を使って考えた文章みたいですよね。
これがたった10秒で出来上がるわけです。

なんか怖くなってきますが、このようにあらゆる業界で新たなトレンドが生まれる可能性を秘めるのが2030年の社会です。
そんな中、この7年であなた自身はどんな成長をしますか?より良い人生を生き抜くために、今からどんな準備ができますか?
2023年が始まったところなのに、そんな未来のことまでわからんわ!となりますが、7年後はもうすぐそこです。

2030年あなたは何をしていますか