コラム『所長の眼鏡』
一生懸命と本気は違う!2014.12.01
今年も残すところ、あと1か月となりました。
年内の納品、売掛金の回収、賞与の計算、来年の目標設定、忘年会…あっという間に過ぎていきます。
そんな師走に政局は乱れ、解散総選挙となりました。
消費税10%の「先送り論」については、景気条項が入っていたため、当然と言えば当然ですが、何が何でも増税したい財務省をもってしても、マイナス成長は数字以上に相当深刻なのでしょう。
アフリカベンチャー企業の第一人者と言われる「ルワンダ・ナッツ・カンパニー」会長の佐藤芳之氏が、「報道ステーション」にゲストコメンテーターとして出演した際、司会の古館氏が「あのアフリカの大地と、アフリカの人の世を、ずっと長く見続けてきた佐藤さんから見ると、この解散総選挙のにわかな流れっていうのはどんな風に映りますか?」とたずねると、佐藤氏は
「一言で言えば、素晴らしいんじゃないでしょうか」と答えました。
これには、古館氏が一瞬「はっ?」と驚いたような声で聞き返してしまうのですが、
佐藤氏は「アフリカは長期独裁政権でずっと権力者が統治しているという状況が続いている中で、例えば、今回の動きのように『選挙をしよう!』と。こんな民主的なところはないので羨ましいです」と、日本の民主主義を称えました。
このように、世界からは幸せな国民だと映る日本ですが、民主党政権の大失態を目の当たりにしているだけに、日本の有権者も責任重大です。
なかなか落ち着かない政局ですが、経済状況も深刻です。
日本が「失われた20年」から脱却し、75%もの企業が赤字であるという状況から抜け出すためにも、「自分に問題がある」ということを受け入れ、現代の資本主義の常識に従って問い続けてきた
「どうやって売上を上げるか」
「どうやったら売れるか」
「どうやって利益を出すか」
という問いから離れ、新たな視点から事業をとらえなければなりません。
「経営の3要素」として「ヒト・モノ・カネ」、これに「技術」「情報」「会計」が重要と言われてきました。
経済成長している時代は、ヒトが頑張ればモノは売れた。モノが良ければ売れた。カネがあれば何でもできた。
しかし、「失われた20年」に圧倒的に不足していたのは、経営者の内面の力です。
とくに中小企業には「理念」「知恵」「物語」がありません。「理念」に則って「知恵」を出し、それがどのような物やサービスとなって顧客が満足し、結果的に社会の役に立つという「物語」です。
内面が荒れ、元気がない、と感じている方も多いと思いますが、「非は内にあり」です。
人は日々、一生懸命生きているものです。経営者も一生懸命です。
しかし、一流のスポーツ選手などは、「一生懸命」ではなく、「本気」です。
「一生懸命」と「本気」は同じようで違います。
他人に言われれば、人は嫌々でも一生懸命物事を行います。そのため、時には愚痴や不満がでるのです。
しかし、「本気」は自らの強い意志がなければならない状態です。
では、なぜ「本気」になれないのか?
それは、普段はそこまで自分を追い込まなくてもどうにかなってしまうからです。
しかし、「逆境」の時には、人は本気にならなければなりません。
「逆境」は人が真剣になり、「本気」にしてくれる最高の環境なのです。
佐藤氏が羨ましいと言ったのは、日本は「本気」になれば何でもできる環境だということなのでしょう。