コラム『所長の眼鏡』
世界との差2006.07.01
2006年FIFAワールドカップドイツ大会もいよいよ決勝トーナメント大詰めとなり、目が離せなくなってきました。世界中が注目するこの4年に1度の祭典を、皆さんはどのようにご覧になられていますか?
連日、睡眠不足になっている方もおられると思いますが、ヨーロッパ、特にイギリスでは仮病を使った欠勤が問題となっているようです。
というのも、ヨーロッパでは移民が多く、イギリスだとイングランドの試合がある日だけというわけではなく、誰がいつ休むかわからないということで、イギリスの経営者は「仕事にならない」と嘆いているそうです。
・・・それにしても残念でした。ジーコジャパン…。
正直3戦全敗も覚悟していましたが、実際に世界との実力の差をこれだけまざまざと見せつけれられると、失望と脱力感に包まれてしまい、早くも4年後に目を向けたくなってしまいます。4年後、日本は強くなっているのでしょうか?
私は、とりわけサッカーの世界において、日本には世界で勝てない致命的な問題があるように思われます。それは、横並び社会を良しとする日本社会の考え方に原因があり、個人の能力や個性を伸ばすのではなく、なるべく無難に、平均的な人間を好む民族性が大きな災いとなっているのではないでしょうか?
一番おいしいシュートチャンスをチームメイトと譲り合ったり、ファールを恐れた消極的なディフェンスを見ていると、世界との差は歴然です。スポーツの試合に臨む日本人選手に対し、国の名誉を賭けた格闘技の戦いに臨む外国人選手とでは、試合前から勝敗は決しているようなものです。
このことは、スポーツだけでなく経済社会においても同じことがいえます。したたかさやズル賢さ、粘り強さという点では、腹が立ちますが欧米や中近東、中国などの真似はなかなかできないでしょう。
ユダヤ人の諺に、「戸をしつこくノックする人こそが、いつかはそこに入れる」というのがあります。 ユダヤ人が並外れて金儲けがうまい秘訣は、ユダヤ人の商売に対するすごい気迫と執念にあるようです。
我々の感覚だと、量産された製品をできるだけ多く、しかもなるべく高く、これを買いに来た客に売るのが一番儲かると考えます。
しかし、ユダヤ人のビジネスとは、「自分が取り扱っていない商品を見つけてきて、それを欲しがっていない人に売ること」だそうです。すさまじい気迫!!。ユダヤ人が総じて「粘り強い」とされるのは、言い換えれば「しつこい」ということです。
しかし、彼らの手法は「しつこさ」であり、「押し」とはまったく違います。
強引に自分の意志を通すのではなく、あくまでもタイミングを見計らい、論理を尽くしながら説得を図るのだそうです。これは大いに参考にしたいところです。
話しはサッカーに戻りますが、日本代表の次期監督には、ジェフユナイテッド市原のオシム氏が有力視されています。
とにかく走るサッカーということで期待をしたいところですが、HP上で、オシム監督語録というページがあるぐらい言葉においても分かりやすい説明をすることで有名です。
「ウサギがライオンに追いかけられそうになって肉離れをするか? 準備不足だ!」
私は、この説得力のある表現が大好きです。