コラム『所長の眼鏡』

初めての富士登山2015.09.01

 先月ついに念願の富士山に登ってきました。登られた方もおられると思いますが、想像以上に過酷でした。 富士山は初めてでしたので、4つのコースのうち最もメジャーな吉田ルートから登ったのですが、新幹線で三島まで行き、お迎えのマイクロバスで5合目まで連れて行ってもらいます。 15時に到着して車から降り立った瞬間、猛暑から一転少しひんやりしていることに驚きましたが、それもそのはず標高はすでに2,300mです。 同時に人の多さにも驚きました。世界遺産に登録されたこともあり、昨年は28万人の登山客があり、この日も多くの国旗が目に飛び込んできました。世界中から神秘的な富士山を目指してやってくるのです。 富士山登山口①
富士山登山口② 高山病にならないように、着替えや準備体操などをしながら1時間ぐらい体を慣らし、いよいよ16時にスタートです。 6合目、7合目までは雑談をしながら快調に登っていきましたが、この辺りから日が沈みかけ、ヘッドライトを装着しながらの登山です。 暗くなると距離感もつかめなくなり、気温も一気に下がってくるので、急に心細くなってきます。 山頂に近づけば近づくほど風が強くなり、立ち止まると遮るものがないのでガタガタ震えるほどです。そこに追い打ちをかけるかのように急な岩場の連続で、両手を使わないと登れません。 結局、本8合目の山小屋に着いたのは21時でした。
山小屋では知らない登山客と雑魚寝状態。3時間ほど仮眠をとり、夜中の2時に再スタートしたのですが、あまりの寒さに、防寒用の長袖肌着の上に、Tシャツ、長袖シャツ、ダウンジャケット、カッパを重ね着しましたが、それでも風が吹くと震えるほどです。 そこから山頂までは大渋滞、登ってきた道を振り返ると、雲海の上をまるで奴隷がヘッドライトをつけて登らされているような絵が続いています。 あと少し、もうちょっと、と思いながら一歩一歩進んでいくのですが、酸素も薄く高山病にならないかという不安と、体力の消耗、寒さの三重苦で、想像よりもはるかに辛かったです。
4時過ぎ、ようやく遥か地平線がだんだん赤らんできます。御来光を見たいというよりも、早く太陽の光と暖かさが欲しいという気持ちです。 そして4時50分、登頂とほぼ同時に御来光を拝むことができました。これほど太陽の有難味を感じたことはありません。登山を始めて5年、これでやっと「趣味は登山」と胸を張って言えるような気がします。 そして今回、5月に亡くなった父の遺影をリュックに入れて連れていくことができました。足の手術をした後、登山とゴルフはドクターストップがかかっていたので、あの世で喜んでいると思います。 富士山御来光 私が登山に魅了されたのは、人生や経営と重ね合わせることができるからで、 山は一歩一歩足元を見ながら登っていきます。そしてたまに目標の頂上を見上げます。また一歩一歩足元を見ながら進んで、たまに見上げます。そして最終的には必ず頂上にたどり着くことができるのです。 あまりにも気づきの多かった富士登山でしたが、それはまた次回以降にお伝えしていきたいと思います。 ただ、江戸時代から伝わるように、「富士山に一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」と言われるのをご存知ですか? 日本一の富士山はやっぱり見るものです。笑