コラム『所長の眼鏡』
悩みを解決する消毒液2020.12.01
もうお忘れかもしれませんが、ほんの1か月前に大阪都構想の住民投票がありました。
今回も大阪を二分し、結果はまさかの2回目の否決。
そして米大統領選では、大阪都構想の超巨大版のような米国を真っ二つに二分する選挙で、結果が出ているにもかかわらず、いまだに揉めに揉めています。
どちらもコロナがなければ結果は違っていたような気がしますが、米大統領選は別にして、大阪都構想は、大阪市民の問題意識も低く、やはり問題が何で、その問題解決のための説明も足らなかったように思います。
今から50年以上も前の話ですが、同じ商品を売る2人の男がいました。2人が売っていた商品は「消毒液」。
当時、その消毒液は画期的な商品でした。
早速1人目の男が、この消毒液を売り始めました。
「傷口に塗れば、すぐに治りますよ!」「もう風邪をひくことはありませんよ!」「体の嫌な臭いも消すことができます!」
色んな効能がある消毒液。
画期的な商品だったため、彼は売れると信じて疑わず、毎日営業に出ては、消毒液を売るためにプレゼンをし続けました。
しかし、そんな期待とは裏腹に、その消毒液が売れることはありませんでした。
2人目の男も、同じ消毒液を売っていました。全く同じ商品です。
でも、不思議なことに、彼が売るその消毒液は、なぜか飛ぶように売れていったのです。
1人目の男は、「一体、何をしたんだ?何か悪いことでもしたんじゃないだろうな?」
と聞きましたが、
「いや、そんな必要はないよ。ただ、売る時に必ず“ある話”をすることに決めていたんだ。」
2人目の男は、自信満々にこう答えました。
「商品を売る前に、お客さんにこう伝えたんだ。…あなたは、自分の口の臭いを気にしたことがありますか?ってね」
この話は、今や世界中で売れ続けているある商品の発売当初の話です。
当時、その商品は「消毒液」として発売されましたが、全く売れることはありませんでした。
しかし、ある男の登場によって、急激に売れるようになったのです。
彼がしたことは、いたってシンプル。
1人目の男が「この商品がいかに素晴らしいか」という話をしていたのに対して、2人目の男は「お客さんが抱える問題」について話したのです。
「あなたは、自分の口の臭いを気にしたことがありますか?」
「あなたが異性からモテないのは、口の臭いが原因かも知れませんよ?」
「でも安心してください。そんな口の臭いを解消する商品が、うちの商品です」
と言って、その問題を解決するための商品として、自分の商品を売ることにしたのです。
この商品の名前は、「リステリン」。
今やリステリンは、マウスウォッシュ商品の中でシェアNo.1を誇る大人気商品になっています。
これはとても重要な教訓で、売れない社長は決まって、商品の話ばかりをしてしまいます。
ですが、人は商品そのものを買うのではなく、自分の問題を解決するために商品を買うのです。
以前にもお伝えしたかと思いますが、ドリルを買う人は、ドリルが欲しいのではなくて、穴が欲しいのです。
世の中には「売り方」を変えることで、劇的に結果が変わった成功事例が数え切れないくらいあります。
ちなみに、リステリンを大ヒットさせたその男によって、「口臭」という言葉が誕生したそうです。
それまで「口臭」という言葉が、存在すらしていなかったことを考えると驚きですよね。