コラム『所長の眼鏡』

アフターコロナへどの道で行きますか

 



コロナ禍で息が詰まるまま新年を迎えました。

思えば1年前、インバウンドに湧き、東京五輪開幕の期待とともに新年を迎えたのとは大違いです。

1年後に延期された東京五輪が夏に予定されていますが、果たして開催することはできるのでしょうか。


調べてみると、今年は中国共産党設立から100年、満州事変勃発から90年、真珠湾攻撃から80年、サンフランシスコ平和条約から70年、湾岸戦争から30年、ソ連崩壊から30年、アメリカ同時多発テロ事件から20年、東日本大震災発生から10年と、世界的にも節目の年です。


二宮尊徳は「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」と言っていますが、コロナ禍の影響が長引き、先の見通しが立たない会社もたくさんあります。

こういう時こそ、経営者の資質が問われますが、その方向性が間違っていれば、多くの人々を不幸にしてしまう恐れがあります。

したがって経営者には「先見の明」が求められるわけです。

コロナ自体は誰も予測できなかったことであったとしても、


・これからどのような社会変化が起こるのか

・今起こっているのが本質的な社会変化なのか、一過性のブームやトレンドに過ぎないものか


これぐらいは見えていなければならない、ということです。


今回のコロナ禍は、近い将来起こるはずだったことが、コロナを引き金として急速に急激に起こったということかもしれません。

批判を恐れずに言うならば、いまコロナ禍で打撃を受けているビジネスは、遅かれ早かれ打撃を受けていたかもしれませんし、逆にこのコロナ禍で伸びているビジネスは、遅かれ早かれ伸びていたはずです。

そして今回のコロナ禍が起こる前も、少しずつその兆候は感じていたはずです。


人の流れが減少し、モノの流れが増加する傾向、外食から中食への流れは前からありましたし、AIによってなくなる職業・情報技術の発展・DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れは前からありました。


一方で、オリンピック特需やインバウンドのような「作られた流れ」は、文字通り一過性のトレンドに過ぎず、そこへの依存度が大きかった企業ほど、苦境に陥っています。

「今になってそんなことを言われても間に合わない」と思われるかもしれませんが、今ほど何が本物で何がニセモノか、何が本質で何が枝葉かが明らかになっている時はありません。

そういう意味では、今この時は、何が本物・本質であるかを見極め、正しい流れに舵を切る大きなチャンスかもしれません。


コロナ禍で各国のGDP成長率が戦後最悪を記録しましたが、それに反して、日経平均は続伸し、米国のダウ平均は一時3万ドル超えの史上最高値を更新するほど株価は異常に上昇しました。

実体経済がこれだけの惨状にあるにもかかわらず「なぜ」と思われるかもしれませんが、株価の上昇は、実体経済が伴っていなくても、マネーが株式市場に流れ込みさえすれば上がるということです。


リーマンショックから金融危機回避のために続けてきた金融緩和、そして今回のコロナ禍に伴って行われた大規模な財政出動によって、マネー自体は金融機関や市中に溢れました。

しかし、そのほとんどは、人口の大部分を占める中小零細企業や消費者・労働者に行き渡り、実体経済に回されるのではなく、一部の金融機関や超富裕層が操作を効かせられる金融市場に流れ込んだ結果、「史上最高値を更新する」などという異常事態になっているだけです。


まさにバブルの様相を呈していると言えますが、恐ろしいのは、実体経済と乖離した金融市場の裏には、必ず大きな爆弾が潜んでいるということです。

そして学者やエコノミストは、いつもそれを過小評価します。

リーマンショック前もそうでした。


金融市場ではその乖離を埋めるために、弱者からお金を吸い上げ、超富裕層をさらに富ませるおかしな商品が作り出されます。

リーマンショックの時は、「働かなくても家が買える」と言って、「金融工学」という得体の知れない嘘の理論によってサブプライムローンが作り出されました。

そして今、金融市場を脅かしている最も大きな爆弾の一つが、銀行が「信用力の低い」企業にお金を貸して、その債権を他の金融商品とパッケージにして商品化したCLO(ローン担保証券)という商品です。

実は日本の金融機関が世界の15%を保有しているのですが、農林中金:7兆9000億円、三菱UFJ:2兆5000億円、ゆうちょ:1兆5000億円、となっています。


本来「信用力の低い」商品が、ワケの分からないカラクリによって「信用力の高い」商品に化けるという無理な嘘が、コロナ禍での企業の業績悪化によって明らかになる日が来ることは確実です。

あとは「いつか」という問題だけで、もしかしたら、昨年の異常な株価上昇は、その大規模な破綻を見越した、ごく一部の超資産家による「手仕舞い」なのかもしれません。

わずか12年前に経験しているにもかかわらず、また繰り返してしまうのが人間の欲望の恐ろしいところで、今の世界経済の歪みの大きさは、リーマンショックの比ではありません。

そんな悲劇が起こらないように祈りますが、たとえ経済ショックが起ころうと起こるまいと、いつの時代にも決して揺らぐことのない強力な基盤を創り上げなければなりません。


では、皆さんは2021年を新たな気持ちで迎え、どのような目標を立てられましたか?

人は、向かうべき「目印」や「目標」がなければ、意欲的に行動が出来ない生き物だと言われています。

なぜなら、目標がないということは、「目的地」がない「旅行」に出るようなものです。

もしかしたら、いきなり目標は決められない、ということもあるかもしれませんが、それらを言語化し、叶えるための具体的な行動を目標として設定することが大切です。


皆さんは、不思議の国のアリスの次のシーンをご存知ですか。

道に迷ったアリスが、チェシャ猫に聞きます。


アリス  「ここから、どの道を行けばいいか、教えて欲しいの。」

チェシャ猫「そりゃ、君がどこへ行きたいかによるね。」

アリス  「どこに行きたいか分からないの。どこだっていいわ。」

チェシャ猫「それなら、どの道でも構わないさ。」


目的地がなければ、行動しても、成果にはつながりません。

先の読めない時こそ、行き当たりばったりではなく、行動する目的地と動機を明確にしなければなりません。

それが成功を収める上での最初のステップです。


今年が皆様にとって幸多き1年になりますように。