コラム『所長の眼鏡』

ミスタードーナツのV字回復2023.10.01

 

先日友人と4人で飲んだあと、2軒目に行く道すがら、結構酔っていたのか、ふらっとミスタードーナツに入って、一人2個ずつ買ってしまいました。

僕が買っている間、怪訝な顔で待っていたおじさん3人の分も買ってあげましたが、普段甘いものなどまったく興味のないおじさん達も2個ペロリでした。

そんな僕も大好きなミスドが業績好調で、ダスキンが発表した2023年3月期の決算では、売上が前期比11%増、営業利益が前期比51%増と、かなり好調のようです。

ミスドで何を買うかでトークが盛り上がりますよね。

 

 

ところが、そんなミスドも一昔前は営業赤字だったことがあります。店舗も閉店して、一時はこのままダメになるんじゃないかと言われた時期があります。

そこから見事に復活したのですが、そもそもなぜミスドは赤字に陥ったのでしょうか?

 

2010年くらいまでは順調に売上を伸ばしていたものの、少しずつ売上が鈍化し、利益も減ってきて、2015年には営業利益が赤字になっています。

それには理由があって、それは「100円セール」です。

昔、ミスドにはある時期行列ができていました。

ドーナツがどれでも100円というセールを実施して、普段は150円くらいするドーナツも100円で買えたのです。

 

このセールの時には、たくさんのお客さんが集まってドーナツを買っていく。

しかし、セールの期間は売上があがるものの、やっていない時はお客さんが来ない…なんてことになっていたんです。

となると、店舗の運営も大変で、100円セールの時にはスタッフが大量に必要で、たくさんドーナツを作る。

しかも普段より安売りしているので、利益は少ない。逆に、それ以外の日はお客さんが来ないので、人件費だけがかかり、利益は赤字。

 

100円セールは麻薬みたいなもので、やればお客さんは来るけど、やらない時期はお客さんが来ない、、、

簡単なことですが、そんな悪循環に陥っていました。

お客さんも「ミスドと言えば100円」みたいな感じで、100円の時に買うものという風に思っていたので、それ以外の時に買うと、逆に損をした感じになってしまいます。

しかも、行列に並ぶのが嫌な人は、並んでたら買わずに帰ってしまいます。

 

この100円セールをやめたのが2016年。

やめてから売上は下がったものの、利益は回復し、今では営業利益を大きく伸ばすことに成功しています。

結局は売り方が大事だということです。

安売りをメインにすると、安い買い物目当ての人が来るわけです。

ネットの掲示板で「お客さんの質が悪い」というコメントを見ることがありますが、「セールスレターは顧客の鏡」という言葉があるように、それは、その会社が質の悪いお客さんが集まる方法で集めているからです。

 

ミスドも、売り方を100円セールから、コラボや高級路線のドーナツを売るなど、売り方を変えることによって業績が回復しました。

今はミスドに行っても行列を見ることはあまりないですが、いつ行ってもそれなりにお客さんがいて、値上げもしたけど、お客さんは来ている。

売り方1つで、顧客の数も、顧客の質も大きく変わるということです。