コラム『所長の眼鏡』
チームワーク2010.07.01
W杯南アフリカ大会が始まって約2週間、寝不足の方も多いのではないかと思います。
私も朝の3時半に目覚ましをかけ、デンマーク戦に勝った時は本当に感動しました!
それにしても、始まるまではメディアやサポーターからボロくそに言われ、勝てばこれ以上ない賞賛の声で書き立てられます。
メディアっていったい何なんだ!?って思ってしまいますが、まるで政党の支持率のように、新聞を読んで世の中を知るのではなく、今や自分の意見を持たないと本当にメディアに振り回される時代です。
そんな中、岡田ジャパンの選手たちの方が冷静に大会に臨んでいたのでしょう。
この大会を通じて、私が最も印象に残ったのは、メディアの前でも無言を貫いたある選手の一言です。
「誰でも山あり、谷あり。日の当たらないときほど頑張らなくちゃいけない」
これは岡田監督が守備的な布陣を敷いたことで、先発の座を失った中村俊輔のコメントです。
ネガティブな感情を持つことは簡単。
しかし、そういう気持ちが生まれれば、チームにも悪影響を与えかねない。
もちろん、自分自身にとってもマイナスになることはあっても、プラスにはならない。そんなことは長い現役生活で痛感している。
「日本が勝つために…」
気持ちが折れないよう、その思いにしがみついたのです。
今まで絶対的な中心選手としてチームを引っ張ってきた選手が、異を唱えるどころかこのようなコメントをすれば、チームが纏まるのはある意味当然といえるでしょう。
フランスチームが崩壊したのとは大違いで、いかにも日本人的な発言です。
岡田監督が「サッカーがチームスポーツであることを証明する」と言っていましたが、まさにその通りになりました。
以前聞いた話ですが、自衛隊の研修に参加した話です。
1日目は敬礼や行進の訓練をした後に、数人で協力して重量物を撤去する作業を行います。
仲間との呼吸が大切な作業で、自衛隊では時間は絶対に厳守です。
誰かが遅れたために撤退が遅れれば、爆弾が飛んできて全員の死亡も考えられるからです。
訓練でも時間厳守で、誰かが一人でも集合に遅れたら連帯責任で1秒の遅れに対して、腕立て伏せ10回と言われるそうです。
そして、1日目の最後に教官が、
「明日の朝、8時に装備を整えてグランドに集合、絶対に遅れるな」
と言って解散したそうです。
遅れると大変なことになるので、当然みんなでお互いを起こそうと決めて眠ります。
ところが次の朝、
予定よりも2時間早い6時に
「5分以内に装備を整えてグランドに集合」
という放送がかかったのです。
慌てて集合しますが、最後の1人が来たのは7分後でした。
「2分の遅れだから腕立て1200回だな」
と言うと腕立て伏せが始まりましたが、次々とダウンしていきます。
それを見ながら教官は、
「1番悪いやつは誰だと思う?」
と質問しました。
全員が全員、当然一番遅れてきた人だと思ったのですが、
「一番悪いやつは、一番初めにグランドに来たやつだ。最初に来れた人は遅れている仲間を助けることができたはずだ。どうして仲間を助けないんだ!」
と怒ったそうです。
毎日が忙しいとつい忘れてしまいがちですが、会社でもチームワークが重要なのは言うまでもありません。