コラム『所長の眼鏡』
DMだけで3人に1人がポルシェを試乗する方法とは!?2013.04.01
いよいよ新年度がスタートします。
政府は全力で景気浮揚策を図っていますが、今の株高・円安は景気が良くなったわけではなく、いわば力ずくです。
キプロスの問題が発生すると、すぐに円高に振れたことでもお分かりだと思います。
そんな中、政府は3月末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法を再延長しないことを決めました。
連立を組んでいる公明党は反対だったにもかかわらず、自民党が再延長しないという決断をしたのは評価できると思います。
しかし、残念ながら本質的な問題は何一つ解決されていません。
数十万社ある中小企業金融円滑化法適用企業の中で、特に危険視されている企業は5・6万社あると言われています。
くれぐれも取引先の不渡り、倒産には注意してください。
これらの資金繰りに窮した中小企業の消費者金融への需要も高まるとも言われ、関連企業の株価が急上昇しています。
なんとも投資家の考えることは恐ろしいものです。
とはいえ、昨年までの冷え切ったムードから世の中は一変しています。
花見で盛り上がる人たちを見ても、つくづく平和だなと思います^^;
では、どうすれば自社製品も消費者の目に留まるのでしょうか?
昨年、「とあるカナダのポルシェ・ディーラーからのDMを受け取った約3人に1人が試乗予約をした」というニュースがありました。
いったいこの驚異的なコンバーション率を誇ったDMとは!?
① まずターゲットとなる富裕層の住宅地に行き、ポルシェをターゲットの私有車道に無断で駐車します。
② ポルシェと住宅が一緒に収まるようなアングルで写真を撮影します。別の家も同様にします。
③ 撮影した写真をその場でまとめて印刷し、「各家専用のDM」を作成。ポストに投函すれば完了です。
つまり、自分の家の前にポルシェが駐車された写真がDMとしてポストに届くという極めてパーソナルなDMなのです。
日本でこんなことをしたら即アウトのような気がしますが、自分の家の写真がDMになっているわけですから、DMを受け取った人はかなりの衝撃を受けたはずです。
と同時に、このポルシェを所有している自分の姿、これからポルシェに乗る自分の姿、家の前にポルシェがある光景を無意識のうちに想像したはずです。
これは「フューチャーペイシング」というマーケティングのテクニックの一つで、実際に商品を使用した「未来」や「結果」を見せてあげることで、顧客にビジュアルでイメージさせるテクニックです。
すなわち、単なる商品カタログではなく、試供品やサンプルをどうすれば手にしてもらえるのか、手にしたらどうやって使い、どのような結果が得られるのかということです。
飲食店やお弁当でも、メニューだけでなく、○○産、○○味、カロリーなどを表示することにより、その商品を食べたイメージと結果を示すのです。
ハウスメーカーが展示場に来てもらうのも同じことですが、そこまでどうやって足を運んでもらうかが問題なのです。
中小企業金融円滑化法が終了するということは、世の中の「新陳代謝」が起きるということです。
キプロスのように、世界中で新陳代謝が起こっているのです。
皆さんの業界も伸びる企業とそうでない企業が新陳代謝を繰り返す時期ですので、今までと同じやり方では難しい時代ですね。